(円卓)ふるさと納税を学校へ

東北大学理事 大槻達也

 

今、ふるさと納税が注目されている。平成20年度に始まった受け入れが、27年度には726万件、1652.9億円で、件数で134倍、金額で20倍に激増中だ。背景に、財政不足を補いたい自治体の努力や、疲弊する地方や被災地を支援したいとの人々の心情があるのも確かだ。

だが、一部には「返礼競争」の弊害も指摘されている。返礼品の品揃えにばかりに目を向けるのではなく、その使い道についても改めて考えてみたい。

使途の実績は、多い順に、「教育・人づくり」「子供・子育て」「健康・医療・福祉」などとなっており、次代を担う人づくりに生かされている。人が育つ上で、小・中・高校の設置・運営費や医療費補助など、多額の費用を地方自治体が負担している。しかし、例えば、高校卒業まで地方で育ち、都市部の大学に進学してそのまま就職した場合、住民税は、育ててくれた地方ではなく、現在住んでいる都市部に納めることになる。そこで考え出されたのが、ふるさとを離れて暮らす人々が、自らの判断で住民税の一部を故郷に届けて「恩返し」できるふるさと納税の仕組みである。

人づくりが使い道の上位を占めてはいるが、これをさらに進めて、教育条件の地域間格差是正の一助にできないだろうか。公立小・中学校施設の耐震化率こそ関係者の長年の努力によって地域による格差を埋め、全国平均で100%に迫りつつある。しかし、学校図書や情報機器の整備など、いまだに格差が著しいものも少なくない。もとより、これらは各自治体が通常の歳入で手当てすべきだが、それもままならない場合もあるだろう。

ふるさと納税の募集時に使途を指定・選択することが可能だが、現状では「教育・人づくり」などといった大くくりなものが多くなっている。そこで、募集する側で「○○小学校図書購入」や「○○高校実習設備導入」と明示し、善意に訴える工夫も考えたい。もちろん応募する側で指定することもできる。また返礼も特産品に限らず、寄贈図書活用の報告や専門高校の実習生産物の送付など、浄財の活用が実感でき、その後に好循環をもたらす仕掛けも必要だ。

豊かな国土づくりに水源地帯の保全が不可欠なように、地方での教育条件整備は都市部にとって他人事ではない。(元国立教育政策研究所長)

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