(円卓)未来社会を創造する主体として

國學院大學教授 田村 学

現代の社会は、大量生産と大量消費、大量廃棄による経済成長に依存する傾向が続いている。

また、産業の発展と人口増加に伴い、さまざまな問題も発生している。例えば、気候変動などの環境問題、資源の枯渇などのエネルギー問題、貧困の拡大などの南北問題、飢餓や食糧不足などの食糧問題などであり、それらの問題は広がりをみせる一方、収束に向かう気配はなかなかみられない。

私たちの子や孫などの将来の世代においても、現在のような恵みある豊かな暮らしを行えるかどうかは、甚だ心配な状況が生まれている。

将来世代を含む全ての人々に、質の高い生活をもたらすことができるような発展を目指していかなければならない。

そのためにも、以下のような人材の育成が必要とされる。

「持続可能な社会の構築に向けて行動できる人材」「希望の持てる未来社会を築いていく人材」「自分の考えで、地球的視野で行動できる人材」「そうした地球上のさまざまな問題を自分事として深く理解し、日常の暮らしにおいて、自分自身の行動を変革し続けていくことのできる人材」――。

これらを育成することが、今、求められている。まさに、「未来社会を創造する主体としての自覚」を持った人材こそが求められている。

その鍵を握っているのがESDの考え方である。私たちの暮らしに密接なものであるとともに、誰もが意識していかなければならない重要なものとも言えよう。

日本国内においては、さまざまな立場からESDに取り組んできた。小学校、中学校、高等学校、大学などの学校における教育はもちろん、社会教育施設、自治体、NPOや企業などの地域社会における教育でもESDが展開されてきている。

とりわけ学校においては、学習指導要領の改訂と結び付け、アクティブ・ラーニングの視点による授業改善やカリキュラム・マネジメントの充実に向けて、ESDの考え方を生かした取り組みが期待されている。

なぜなら、資質・能力の育成に向けた主体的・対話的で深い学びの実現は、ESDでも大切にされている「学習者主体の能動的な学習」や「単元配列表などのカリキュラム・デザイン」によって大きく前進すると考えられるからである。

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