(円卓)少年院での教科指導

國學院大學名誉教授 横山 實

非行を犯した生徒の中には、少年院で矯正処遇を受けることになる者がいますので、少年院での学科指導について書かせていただきます。

少年院法第26条第1項では、少年院の院長は、教科指導(学校教育法による学校教育の内容に準ずる内容の指導)を行うことが義務付けられています。

そこで、義務教育を受けている少年を収容している、赤城少年院のような施設では、中学校の教科書を用いて一斉指導するほか、公文式学習法などを取り入れて、個別指導をしています。

学校教育法第18条によれば、少年院在院者は就学義務の猶予・免除の対象となる「その他やむを得ない事由」に該当します。しかし、少年院の院長は、少年を受け入れるとき、出身中学校の校長に速やかに連絡して、学籍をそのままにしてもらいます。

出身中学校から送られてくる中間テストや期末テストを少年院内で受けさせるなどして、その学習状況を連絡し、出身中学校長名で発行される卒業証書を受け取れるようにしています。

中卒以上の者が少年院に収容された時は、少年院法第26条第2項に基づいて、少年院長は、「学力の向上を図ることが円滑な社会復帰に特に資すると認められる在院者に対し、その学力の状況に応じた教科指導を行うことができる」のです。

教科指導の成果は上がっており、2007年度からは、法務省と文科省の連携によって少年院内において高等学校卒業程度認定試験が実施されています。

少年院新収容者の人数が減少しているのに、その受験者は年々増加し、16年度の受験者は548人に達しています(そのうち、高卒認定合格者は178人、一部科目合格者は348人)。16年の少年院新収容者の数は2563人ですから、16歳以上の少年院在院者の4人に1人の割合で、高等学校卒業程度認定試験を受験していることになります。

現在、選挙権年齢が18歳に引き下げられたことに伴って、「18歳になれば大人としての権利を得るぶん、義務も負え」という論理で、少年法適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げようとする動きがあります。

この論理で適用年齢が引き下げられたら、世界に誇れる少年法の下での矯正教育が大きく損なわれることを、ご理解いただければ幸いです。

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