(円卓)「風」を感じて

岩手県立総合教育センター所長 藤岡 宏章

2016年11月に教育公務員特例法が改正された。趣旨は「学び続ける教員像の理念の実現」にある。では、「学び続ける教員像」とはどのような姿なのか。

知徳体を備え調和の取れた人間形成という教育の持つ崇高な目的を自覚し、確かな教育理念の下、高度な専門性を有する職業人たるべく教員等としての成長に向けて研修と修養に努め、自らを磨き続ける姿に他ならない。

このことから本改正では、新たに教員等の資質の向上に関する「指標」を定めることとされ、各県においては指標の策定を進め、ライフステージごとに高度な専門職としての職責、経験および適性に応じた資質の明確化を図ったと思われる。今後はその指標を踏まえた新たな研修体系の下、研修等を進めていくこととなる。

「教育の質は、教師の質を超えられない」という言葉がある。

これは、経済協力開発機構(OECD)の教育責任者、アンドレアス・シュライヒャー氏の言葉であり、氏は「学校の質は、授業の質を超えることはない」とも述べている。

子供たちの学びを保障するのは、教師をはじめとする教育に携わる者の責務である。そのクオリティーを上げてこそ、子供たちに素晴らしい未来を保証し、保護者の願いや地域の思いに応える学校教育の推進が成される。教員等の研修や研究を業務とし学校を支援する教育センターや、教員研修センターへの期待と果たすべき役割は、以前にも増して重く大きなものとなっている。

子供たち一人一人に向き合い寄り添う教育の充実と、切れ目のない学びを保障し、確かで豊かな学びの実現のために、その取り組みを支える研修等に、策定した教員等の資質の向上に関する指標を反映させ、指標が実のあるものとしていく必要がある。

本県出身の詩人で童話作家の宮澤賢治の詩「生徒諸君に寄せる」の中に、次の言葉がある。

「諸君はこの颯爽たる 諸君の未来圏から吹いて来る 透明な清潔な風を感じないのか」

今求められている教育、これから目指すべき教育の実現に向け、法改正の趣旨と内容を「風」に例え、未来を担う子供たちが力強く生きていくために、「颯爽たる風」「透明な清潔な風」と感じながら、今こそ創造的に取り組んでいきたいものである。