(円卓)「見方・考え方」をどう捉えるか

国士舘大学教授 北 俊夫

新学習指導要領には、全ての教科等の目標に「見方・考え方を働かせ」という文言が付けられている。

「見方・考え方」は、従来、社会科など一部の教科に指導上の配慮事項として示されていたキーワードだが、なじみの薄い教科等もある。

「見方・考え方」をどう捉えたらよいのか――。このことを考えるヒントは「見方・考え方」の後に続く「働かせ」にある。

すなわち、「見方・考え方」はさまざまな対象を見るときの視点であり、事象や事実を処理したり操作したりして考える際の、手段や方法である。「見方・考え方」を身に付けることが目的ではない。

「見方・考え方」という道具を子供たちに持たせることにより、それを働かせながら深まりのある学びを展開し、各教科等の目標や内容に示された資質・能力をより効果的に育成していくことを求めている。

私たちは日常生活において、空間軸や時間軸で見たり考えたりすることによって、対象や現象をより深く理解することができる。複数の事象を比較したり関連付けたりすると、見えないものが見えてきたり、事の本質を捉えたりすることができるようになる。

ややもすると変化したところに目が奪われがちだが、不易の部分も大切であると、松尾芭蕉は「不易と流行」という言葉にして残している。「木を見て、森を見ず」にならないように、全体と部分の関係性を常に確認することの大切さを、先人は注意喚起してきた。

「先を見て、今を考える」という見方・考え方は、見通しを持って主体的に生きていくための鉄則だ。

「見方・考え方」は、単なる学習指導のレベルの課題にとどまらない。人生をよりよく生きていくために必要となるものである。

新学習指導要領が各教科等の学習指導で「見方・考え方」を身に付け、それらを働かせながら深まりのある学びの実現を求めているのは、人としての「生き方」の道具としての「見方・考え方」の基盤づくりを目指しているからである。
日々の各教科等の授業においては、授業者自身がどの場面で、どのような「見方・考え方」を働かせるのかをまず確認し、それを子供の学習活動の過程に位置付け、意図的、計画的に指導することが期待される。