(円卓)人間性と非認知能力の育成

(一財)総合初等教育研究所室長 梶井 貢

新学習指導要領においては、資質・能力の育成が重要課題であることは周知の通りである。

全ての教科等で、(1)知識および技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力、人間性等――の3つの柱でその育成を図ることになる。しかもそれらが評価の観点ともなるのである。

ところで、この(1)(2)の柱は、認知能力、つまり測定しやすい能力である。それに対して、(3)の柱である「学びに向かう力、人間性等」は、大層やっかいで具体化が難しいと思われる。学びに向かう力は、課題発見、追究、結論付けという主体的な学びの姿として捉えられる。しかし、「人間性等」については、教科独自の人間性とともに、教科横断的な人間性に注目する必要がある。

例えば、社会科では、地域の一員としての自覚や国を愛する心情、世界の人々と共生する大切さへの自覚などが前者になろう。後者の教科横断的な人間性は、まさに非認知能力の面から分析・考察することが肝要ではないか。

具体的には、「ア、目標を達成するための自己抑制力、忍耐力など」「イ、他者と協働するための社会性、思いやりなど」「ウ、感情をコントロールするための楽観性、自尊心、自信など」を指す。これらは幼児期の教育とも大いに関連するが、小学校では全ての教科領域で総合的・計画的に育成すべきものと考える。その意味で各学校が、どんな教育目標、目指す児童像をデザインするかが問われることになろう。

もう一つ、人間性を考えるに当たって問題提起したいことがある。人間性の二面性を押さえておくことの重要性についてである。

人間性には、人間味・人間らしさ(humanity)と人間の本性(human nature)とがある。

あるべき姿としてのhumanityの要素は、健康な体、豊かな情操、強い意志力、合理的な判断、人間関係調整力、社会規範の尊重などの資質・能力を内包する。

しかし、これらを全て身に付けることを意図するような教育では「角を矯(た)めて牛を殺す」ことになる。そうではなく、あるがままの人間性(human nature)を認め大事にし、でこぼこした生身、生地の人間性を尊重したい。

これこそ特別な支援を要する子たちが救われる道につながると考える。