(円卓)いじめ重大事態第三者委員会の課題

神田外語大学客員教授 嶋﨑 政男

2017年3月、「安易に、重大事態として取り扱わないことを選択するようなことがあってはならない」との認識の下、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が策定された。

いじめが主因で尊命が失われることは、断じて防がなければならない。

最近のいじめに係る報道をみると、第三者委員会の活動や重大事態の認定の周知徹底は効果を上げていように感じる。

しかし、早急に取り組まなければならない課題も次第に明らかになってきている。

第一に、重大事態認定要求の増大である。

いじめの認定は被害者感情に依拠しているが、重大事態について「被害児童生徒の申し立て」をもって重大事態とされ、学校および設置者がその対応に右往左往する状況が各地で発生している。

第二に、ガイドラインに示された対処法には、被害児童生徒および保護者への対応・配慮が事細かに定められているが、これを着実に進めるには多大な労力と時間を要する。

第三に、被害・加害を双方が主張する事案が多々あるにもかかわらず、ガイドラインには、そのような事態は想定されていない。

第四に、不登校としての対応が必要な事案が「いじめがあった」との訴えにより、適切な不登校支援がなされない事案が散見されることである。

第五に、第三者委員会に係る課題である。

委員人選・依頼への苦慮、委員会開催日設定の困難性、会議録・聴取記録等事務量の増加などの課題が山積しており、いじめ防止対策推進法第33条に明記されている「援助」(人的・資金的援助)を現実的なものとしなければ、学校・設置者は疲弊するばかりである。

第六は、第三者委員会そのものへの認識である。

2015~16年に自殺原因にいじめが疑われて設置された16の第三者委員会のうち、11例で委員交代や再調査請求が出されている。第三者委員会の意義が問われる。

最後に、第三者委員会の理念・権限の問題を取り上げる。

捜査権も待たず、「藪の中」から「真実」を見い出す作業は正直きつい。しかし、中立・公正・厳正の姿勢に徹するとともに、関係者の人格・人権と成長を保障する役割には誇りをもつ。

さらなる努力を続けたい。