(円卓)イクボスが先導する学校経営

玉川大学客員教授 小澤 良一


「イクボス」の認知度が2014年以降高まってきた。滋賀県ホームページ「滋賀のイクボス宣言企業応援ページ」によれば、イクボスとは、職場で共に働く部下の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と生活を充実させている上司(経営者・管理職)としている。厚労省では、「皆様からいただいたイクボス宣言」として、企業経営者や管理職、官公庁の管理職などからの声を広報している。これらは、具体的な取り組みとして次のような内容を挙げている。

▽職員間の情報共有やコミュニケーションを円滑にし、チームワークで業務を遂行する▽仕事の効率化や進め方の改善を図る▽時間外勤務の縮減に努める▽年次有給休暇をはじめ休暇を取得しやすい職場環境づくりに努める▽男性職員の育児参加を促進する。

学校の状況はどうか。文科省の16年度教員勤務実態調査によれば、中学校教諭の58%、小学校教諭の34%は、月当たりの時間外勤務が80時間を超え看過できない。中教審では、「中間まとめ」で、教員が担ってきた代表的な業務を「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」に分け業務の総量削減が重要とした。都道府県や政令市の多くの教育委員会では、中学校部活動の休養日など基準の設定、事務処理のための情報化システムの整備、学校への調査本数の縮減などを行ってきた。

昨年度、いくつかの県で学校業務改善に関する研修会に参加して、取り組み状況やその課題について共に考えた。今より教育の質を高めたい。だが、これ以上の業務は負い難い。そのジレンマの中で悩む多くの校長の姿があった。教職員と胸襟を開き、勤務の状況、心身の健康や家族の負担を話し合い、できるものはすぐに改善したり、全教職員の創意工夫で改善を図ったり、保護者や地域と連携したりと、多くの校長が取り組み始めていた。その校長を支えようとする教委の姿もそこにはあった。イクボスが学校でも確かに始動した。イクボスを支える力がこれから大きな潮流となり、イクボスが先導する新たな学校経営が創造されることを期待したい。

(文科省学校業務改善アドバイザー)