(円卓)「再方向性」を伴った新しい教育へ

大阪府立大学人間社会システム科学研究科准教授 伊井 直比呂


今年1月、国連大学主催の国際教育交流事業の一環として、ユネスコスクール加盟校などを中心とする韓国教職員招聘プログラムが実施された。このプログラムは、東京での学校訪問を皮切りに岐阜県池田町(池田町教育委員会)、愛知県(愛知県教育委員会)、大阪府(大阪ユネスコスクールネットワーク組織)が受け入れ、各地で盛大な歓迎と充実した交流が行われたことが報告されている。

実施要項によると、同事業は2003年に開始、05年からは日本からの訪問も始まって相互交流の形態をとっている。これまで567人の日本の教員が訪韓し、1995人の韓国教員が日本を訪れている、貴重な学び合いの事業だ。

この日、大阪での韓国教員交流の場に臨場させていただいた。NPO立小中学校、大阪市立小学校、大阪府立高校、国立大学附属小学校・高等学校の異なる学校文化の中で、韓国の先生方と共に考え、共に確かめ合う交流であった。

交流初期の振り返りでは、各学校を視察されての歓迎交流会の感想だけでなく、数々の「発見」とその「意味」を確認・共有することができた。

日程中盤になると、児童生徒を通して日本の教育内容やESDの取り組みを知る展開となり、多くの質問が直接児童生徒に投げ掛けられた。

韓国の先生方からは児童生徒が何を考え、どのような成長をしているのか確かめたい、との意欲を感じた。子供たちもそれに応え、うれしそうな人の輪ができていた。

後半、19校の教員と生徒たちが韓国の教職員30人の方々と一緒に持続可能性を阻害する要因を考えるワークショップが行われた際には、課題を共有するだけでなく、協働する喜びを分かち合う場になっていた。

ここにESDを柱とした国際交流の在り方があると、大きな感慨を抱いた。つまり、小さなことでも一人一人が考え、みんなで共有し、そして協働することで、大きな意味のある何かを得るプロセスである。

そもそもESDは異なる持続性の課題が出会ったとき、一方の持続性を否定することなく両者が成り立つ新たな持続可能性を探し出す力を持っている。ESDは、新しい学習指導要領の理念となっており、私は「再方向性」を伴った新しい教育の時代の到来を確信している。