(円卓)SDGsの達成に貢献する教育ESD

奈良教育大学准教授 中澤 静男

去年の9月に日本ユネスコ国内委員会教育小委員会より出された「学校等でESDを実践されている皆様へのメッセージ」において、ESD(持続可能な開発のための教育)に関する新しい定義が記載されていることに、今さらながら気が付いた。

これまでの「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」に加えて、「持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するもの」という解釈が付加されているのだ。

この解釈で、ESDの「分かりにくさ」が少し解消されると期待する。これまでは、持続可能な社会の具体像も実現方法も不明であることが、ESDを分かりにくいものにしていた。しかし、SDGsに貢献する教育となったことで、17の目標や169のターゲットのどれに貢献できるかが、ESD実践を評価したり、地域を教材化し単元デザインを構想したりする際の手掛かりとなる。

2013年に21世紀の持続可能な開発の定義を考える国際研究プロジェクトが、持続可能な開発を「現在及び将来の世代の人類の繁栄が依存している地球の生命維持システムを保護しつつ、現在の世代の欲求を満足させるような開発」と定義している。SDGsにも環境、経済、社会と多岐にわたる内容が包含されており、課題間の相互関係を捉え統合的かつ体系的なアプローチを促進することが重要な目的とされる。そして「連環」「関連」「関係性」といった意味の「ネクサス」というキーワードが注目されている。

課題間の「つながり」を意識する見方・考え方を養うことは、ESDの役割の一つである。例えば、学習のスタートは貧困問題であっても、それが森林資源の破壊と生物多様性の劣化や砂漠化、健康や衛生、教育に関する問題、格差や不平等など、さまざまな課題へと発展していく学習である。

ESDにおける「つながり」にはもう一つの意味がある。課題を構造的に理解することで、課題と自己のつながりを見いだす学習である。

ESDは価値観と行動の変革を促す教育である。社会を変革するという大きな目的を前にすると無力感に陥りがちであるが、課題間のつながりと、課題と自分のつながりを意識させてみよう。SDGsの達成に参加・参画できる市民を育てるESDに期待したい。

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