(円卓)学校全体・地域全体で取り組む

宮城教育大学教授 市瀬智紀

カリキュラム・マネジメントや社会に開かれた教育課程が重要性を増す中で、それらを実現するためのホールスクール・アプローチが注目されている。ホールスクール・アプローチとは、ある教育目標や教育的価値を、分断された教科ではなく、全てのカリキュラムで実現すること、児童生徒と管理職、教職員に加えて保護者や地域行政も共に目標や価値を共有することである。

さて、全国に1033校あるユネスコスクールの取り組みは、日本の教育改革の中でも革新的な要素を多く含んでいると評価されている。ここでは、ユネスコスクールが「持続可能性」をホールスクールで追求していく中で得られたいくつかの経験を以下に紹介してみたい。

①ホールスクール・アプローチを可視化している。ESDカレンダーの推進にみられるように、年間の学習計画に目標や価値、入れ込み教科や活動を結び付け、それらを関連付けて明示する手法が幅広く普及している。

②学校の施設や設備を利用して、目標の実現に取り組んでいる。自家発電や防災機能、ビオトープなど、サスティナビリティ(持続可能性)を実現するために学校の施設設備の活用と教育目標を結び付けている。

③地域のコミュニティーと密接な連携をしている。地域の自然環境や伝統文化、産業について学ぶ中で、地域の持続可能性に危機意識を抱きつつ、地域全体で人材育成に取り組む事例が増えている。

④市町村教育委員会の支援の下、ホールスクール・アプローチを進めている。上述のような地域の存続に危機感を持つ全市町村が目標を共有し、教育委員会の支援の下、ホールスクールで活動を行うようになっている。

最近は、「ホールスクール」のみならず「ホールエリア」(地域全体で取り組む)といった言い方さえ生まれはじめた。

UNESCOやUNECE(国際連合経済社会理事会)は、先んじて2005年に「持続可能な開発のための教育(ESD)」が、ホールスクール・アプローチで実践されることを推奨しているが、前述のような事例は、カリキュラム・マネジメントや社会に開かれた教育課程、資質能力の向上を総合的に結び付けながら進めていくに当たって、大きなヒントになると考える。