(円卓)非認知能力を育てることの大切さ

東京成徳大学助教 夏原 隆之

現代社会では、学力やIQのように、はっきりと数値化される認知能力が重視されている。

しかし、近年では、こうした力と同等、あるいはそれ以上に、忍耐力や自制心といった数値化されにくい非認知能力が生きていく上で不可欠であり、注目を集めている。

非認知能力とは、学力やIQとは関係のない、自制心、やり抜く力、協調性などの力の総称である。これらは進学や賃金水準、キャリアといった将来の成功にも影響することが分かってきた。

また、非認知能力は認知能力の発達を促す効果もあり、私たちが生涯にわたって学び成長を続けていくための土台となる。幼稚園、小・中・高校の学習指導要領では、主体的な学びを取り入れ、考える力や学びに向かう力の育成を図ることが記されている。学習場面では、公式や法則を用いて応用問題を解いたり、理解できるまで勉強を続けたりと、理解を深めていく過程でさまざまな工夫や努力が求められる。

こうしたときに主体的に考え行動することが必要であり、その基盤になるのが非認知能力だといえる。読み書き計算といった知的教育と並行して、非認知能力を伸ばす教育にも取り組んでいくことが大切であり、これは前述の学習指導要領とも符合する。

学校における正課教育が認知能力を高める一方で、非認知能力は課外活動によって養われる。非認知能力は単独学習するものではなく、集団での協働学習によって獲得されるものである。

つまり、部活動などでスポーツに取り組む意義は大きいが、重要なのは集団の特性をうまく活用することにある。決して、きつい練習や理不尽さに耐えることを通じて身に付くわけではない。

子供のスポーツ活動に対する支援として、できたかどうかという「結果」に目を向けるのではなく、できないことに工夫して取り組んだ「行為」を評価する指導や、自分自身で試行錯誤しながら学習できる教育環境を整備していくことが期待される。

こうした経験は、スポーツに限らず、さまざまな学習場面での学びを支えてくれるものとなる。非認知能力は日常生活の中で養っていくことが十分に可能である。そのためには、周囲の大人の意図的な関わり、サポートが非常に大切になってくる。