(円卓)小さな村(g7)でできる教育

武蔵大学教授 和井田 清司

2016年、日本でG7伊勢志摩サミットが開催された。このG7に触発され同サミットに先んじて、山梨県丹波山村で「小さな村g7サミット」が開催された。全国各地域の最も人口の少ない村に呼び掛け村おこしの協議会がスタートした。

g7の仕掛け人は、小村幸司さん。元銀行員。映像ディレクターに転身したのち、一念発起して関東で一番小さな村である丹波山村(山梨県)の地域おこし協力隊として入村。地域に根ざした実践を蓄積してきた。その経験から、事前にそれぞれの村を訪れ、「全国各地の最小村でそれぞれの知恵を集めて協力し合えば、村おこしのエネルギーになり、相互に元気になる」と夢を語った。自治体での感触は悪くなかった。

初年度は「移住」をテーマに丹波山村、2年目は「都市との交流」をテーマに檜枝岐村(福島県)、3年目の今年は「小さな村でできる教育」をテーマに北海道音威子府(おといねっぷ)村で開催された。この村には、村立おといねっぷ美術工芸高校(おと高)がある。人口770人の村に120人の高校生が学ぶ。教育を地域づくりの核にしている。

g7に参加し、七つの村で取り組む教育の試みを聞いた。それぞれの地域で、学校と行政と地域が一体となり、持てる力を発揮して教育の魅力化を進めていた。小中一貫教育の推進、ICT教育、外国語教育を重視、山村留学の制度を整え「へき地だからこそできる教育」を追究。逆転の発想である。もちろん課題もある。多くの村では高校がない。高校進学と共に村外に下宿する。将来的に人口減は深刻化する。子供の数も減り、同時に地域の担い手も減っていく。だが、こうした少子高齢化の問題は、やがて日本全体が直面する課題に他ならない。へき地は課題の最先端地域であり、先取りした実践の場なのである。少ない子供を地域の宝として手間ひまかけてたくましく育て上げ、未来の担い手としてバトンを託す。そこに明日の考察の芯がある。

グローバリズムの中で「カネだけ!今だけ!自分だけ!」との風潮が地球規模で吹き荒れている。社会的弱者や小さな力の集団は吹き飛ばされそう。グローバル時代だからこそ、ローカルの豊かさが不可欠だ。そういう逆説をg7の試みは示している。ブレイクスルーの可能性の芽がそこにある。教育についてもしかり、である。

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