(円卓)未来をつくる教育を

一般社団法人シンク・ジ・アース理事 上田 壮一

「SDGs for School」という活動を始めた。2015年、利害を異にする国連参加国が全会一致でSDGs(2030年までに達成する17個の持続可能な開発目標)に合意したことに、大きな感動を覚えた。「持続可能な社会の創り手の育成」を前文にうたった学習指導要領改訂もあって、SDGsを上手に使えば、学校と社会をつなぐ教育がデザインできると確信した。

JICAや国連広報センターの協力も得て、今年5月に『未来を変える目標 SDGsアイデアブック』を出版。公募により、まずは全国300校に届けることができた。8月には中高生を課題の現場に連れて行くフィールド授業も実施し、子供たちの目覚ましい成長に心が躍った。

一緒に活動している都立高校の先生の「本来、学びは楽しいはずなのに、いま学校から子供たちの笑顔が消えている」という言葉がずっと心に残っている。「試験のための勉強」で笑顔になれる生徒はほんの一部。高い順位を目指すことは公教育が本来目指すこととは違うのではないか、と感じている先生は案外多い。でもSDGsを教材に、社会とつなぐ授業をすると、生徒たちの心のなかに「未来を変えるために学びたい」という気持ちが湧き、目が輝き始める。

SDGsのキーワードの一つに「Transforming our World=わたしたちの未来を変える」という言葉がある。17個のゴールが示す未来を「これまでとは違う方法で」達成していこうと呼び掛けている。つまり、いまの社会システムのルールに縛られた大人たちよりも、子供たちの柔らかな発想がとても大切なのだ。

もちろんSDGsは万能薬ではない。取りこぼされた課題や、矛盾もある。いま15歳の中高生は2030年には次のゴールづくりに参加しているかもしれない。SDGsよりさらに先の未来を、子供たちと一緒に考える視線も大切だろう。

私は未来を子供たちに託すのではなく、子供たちと一緒につくっていくという姿勢を大切にしている。未来を考えて行動する、たくさんのかっこいい大人たちの姿は、子供たちの目に希望と映るだろう。そんな大人たちと学校をつなぎ、共に学び、アイデアを出し、行動することで「未来は生きるに値する場所」だと信じられる世の中をつくりたい。