(円卓)情報社会と著作権教育

(一社)コンピュータソフトウェア著作権協会専務理事 久保田 裕

福岡教育大学の大和淳教授は、教員に向けて講演を行うとき、〇×式の著作権理解度テストをするそうだ。以下は、その一部である。

1.人の容姿を撮影した写真を学校の広報紙やホームページに掲載する場合、当該写真の被写体となった人から写真の著作物の利用について許諾を得る必要がある。

2.教育目的であれば、原則として無断で他人の著作物を利用できるが、著作権法の規定に抵触する場合には、当該著作物の著作権者の許諾を得る必要がある。

1.は、著作権と肖像権の問題。人の容姿が撮影された写真には撮影者が持つ著作権と、被写体となった人が持つ肖像権が含まれる。この場合、被写体となった人から肖像権について許諾を得る必要があると同時に、撮影者から著作権についても許諾を得なければならない。2.は、原則と例外が逆である。他人の著作物(作品)を利用する場合は、原則として著作権者の許諾を得る必要がある。そして、例外的に教育の場面では無断で利用できる場合があるのだ。

では、どのような例外ルールがあるのだろう。よく知られているのは、授業の際に担任教師や生徒が著作物を複製する場合である。ただし、この場合は営利を目的としない教育機関であることや、必要と認められる限度内の複製であることなどの条件が付く。なお、著作権法が改正され、「ICTの活用により教育の質の向上等を図るため、学校等の授業や予習・復習用に、教師が他人の著作物を用いて作成した教材をネットワークを通じて生徒のPCやタブレット等の端末に送信する行為等について、許諾なく行えるようにする」という規定が加わった。2021年5月までに施行される。

超情報化社会の現代において、他人の著作物を教育で利用することに萎縮することはない。「許諾を得れば使える」というのが著作権法の大原則である。教育現場の先生方には、その原則を踏まえた上で例外ルールも知ってほしい。

私たちコンピュータソフトウェア著作権協会は、「教育と著作権」について、その意義や著作権法の具体的な内容まで、30年にわたり全国各地の教育機関で講演してきた実績がある。今年の2月には『教育著作権検定』がスタートしている。ぜひ私たちを活用していただきたい。

(山口大学特命教授)

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