(円卓)顔の見える交流で持続可能な社会を

宮城教育大学名誉教授 見上 一幸

南太平洋のキリバスに帰化した日本人の方から、地球温暖化に関わる現状を聞く機会があった。「先進国のつけを、温暖化の原因にあまり関わらないわれわれがなぜ払わされるのか。愛の反対とは憎しみではなく、無知と無関心であるから、関心を持ってほしい」という言葉が心に残った。その国の文化や生活体験を持つ人から直接聞く言葉は重い。

地球温暖化について新聞や文献などからの知識はあったが、その国に住む人から直接聞けたのは初めてでリアリティーがあった。日本も大地震や津波だけでなく、巨大台風、豪雨洪水、猛暑と、温暖化に関係のある災害も多く、ひとごととは思えなかった。

気候変動への取り組みは、2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標の中の一つ。地球の温暖化によってキリバスは、海面上昇による国土の減少だけでなく、飲料となる地下水への海水混入、サンゴの白化、台風の巨大化など複合的な課題を抱える。持続可能な社会を脅かす問題は地球全体の課題であるとともに、地域ごとに形を変えた課題にもなる。

新学習指導要領の前文と総則には、「持続可能な社会の創り手」の育成が明記された。学校教育では主体的で深い学びとともに、コミュケーション能力の育成が重要で、「愛の反対は憎しみではなく、無知と無関心」という言葉が示すように、一人一人が相手の立場で考えることが大事だ。

持続可能な社会であるためには、地域がそれぞれの問題解決に向けて学び合い、支え合うネットワークが必要だ。ユネスコスクールネットワーク(ASPnet)はその一つと言える。国内のユネスコスクール加盟学校数は年々増えて、現在1149校になった。各校のESDの取り組みは進んでいるが、学校間の交流はもう一歩である。現代のネット社会では抜けがちな、互いに顔と顔が見える関係が大事ではなかろうか。

学校にとって海外の学校との交流は敷居が高いようであるが、国内には学校のESD活動を支援する大学のネットワーク(ASPUnivNet)もあり、活動を支援してもらえる。

ユネスコスクールに限らず、ESDを推進している学校間で顔と顔が見える交流を通じて、主体的で深い学びのある学習を望みたい。

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