(円卓)地域社会における連携と協働

東京都多摩市教育委員会教育長 清水 哲也

先日、保護司の皆さんにお会いする機会があった。

保護司は保護司法・更生保護法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の一般国家公務員で、犯罪や非行に陥った人の更生を任務としている。皆さんのお話を聞く中で、保護司の活動は無給であると知り、驚きとともに頭の下がる思いであった。

毎年、子供たちが参加して行われる「社会を明るくする運動」は、市民に更生保護への協力と理解を呼び掛け、長年にわたり実施されてきた。罪を犯した人もいずれは改善更生して社会に復帰し、地域社会の一員となれるよう願って活動するものである。趣旨を広く浸透させるため、多摩市では日野・多摩・稲城保護司会多摩分区主催による街頭啓発活動などを実施している。

非行や犯罪が生まれるのは地域社会であり、罪を償い、更生を果たす場もまた地域社会に他ならない。

地域社会挙げての更生保護活動の一端を、学校や子供たちが担わせていただいたことに教育委員会として活動の意義を感じている。

学校教育においても「社会を明るくする運動」と同様に、地域社会の力をお借りしながら新たな展開を模索する取り組みが始まっている。

学校を核として地域住民など幅広い参画により、地域社会と学校が連携・協働しながら、地域全体で子供たちの成長を支え、地域を創生する活動を実現する仕組み――「地域学校協働本部」がある。

「よりよい学校教育を通じて、よりよい地域社会を創る」目標を学校と地域が共有し、連携・協働しながら新しい時代に求められる資質・能力を子供たちに育んでいこうとする取り組みである。

子供たちが社会の中心となって活躍する30年後は、世界的なエネルギーの枯渇・人口のアンバランス・気候変動や人工知能の台頭などがますます進み、課題がグローバルに複雑化して、解決が極めて困難な「葛藤と選択の時代」を迎えるとの予測がある。

こうした時代をどう生き抜くのか、持続可能な社会の在り方が問われる中で、今できる最大の努力を教育に傾けるとするなら、「地域社会総掛かりで子供の学びや生活を支える環境の整備」である。

保護司の皆さんが実践している地域社会との連携・協働の精神が学校教育にも求められている。

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