(円卓)増える学校近隣トラブル

大阪大学大学院教授 小野田 正利

『「迷惑施設」としての学校―近隣トラブル解決の処方箋』(時事通信社、2017年)を出版した。

「学校と保護者のトラブル」ではなく、学校周辺住民との間で生じる摩擦やクレームについても「学校トラブルの比較研究」として、30年前から関心を持ち続けてきた。

普通には思いつかないテーマかもしれないが、実際には教育関係者が深く悩んでいる問題なのだ。

「グラウンドの砂埃(ぼこり)で洗濯物が汚れる」「スピーカー音が大きすぎる」「学校の樹木の落ち葉が庭に飛んでくる」「大人数の生徒による公道の占拠のせいで電車に乗り遅れる」など、学校に寄せられる苦情を挙げればきりがない。

学校は、親しまれる存在ではなく、もはやNIMBY(Not In My BackYard、私の裏庭には作らないで!)という、刑務所やゴミ焼却場などと同じような疎まれる施設になっている。地域環境による差があるので、こういった問題に気付かないだけだ。

「子供のことだから」という寛容性は一部では残っているが、他方で住民が「我慢にも限界がある」と感じることも少なくない。子供の声の騒音を巡っては、4年前の9月に神戸市の住民が、既設の保育園を相手取って訴訟を起こしたことが全国ニュースになった。

実は環境基準では、工場の機械音も生の声も同じ扱いであり、基準値を超えれば対策が必要になる。

昨年のうちに、一審・二審・最高裁とも原告の訴えが棄却され、確定した。園関係者は、安堵(あんど)した。

しかし、測定値が環境基準を超えなかったということと、隣接する住民宅の窓を園側の経費負担で二重にするなどの努力を重ねていたことを総合的に評価しての判決である。

つまり、公共性・公益性を理由に、住民に我慢を強いることは認めていない。

今後も紛争は増えるだろう。

子供のいない世帯が多くなったこと、深夜時間帯の労働人口が30%を超えていることに加えて、私的生活を第一と考える意識が急速に進んでいるからである。

拙著では「学校も位置する地域の町内会に入ろう!」と「トラブル解決の主役は教職員ではなく子どもだ!」と、ビックリするような提言をしているが、的は外していないと思っている。

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