(円卓)グローバル化は学びで評価

島根大学教育学部准教授 香川 奈緒美

教員養成機関のグローバル化が求められている。これを受けて、留学生や国外研修参加学生の増加を図る取り組みが目立つ。しかし、こうした取り組みが、グローバルな視野を持つ教師の養成に寄与するかについての、実証的な評価と検証は遅れている。

背景には、「グローバル化=留学/外国人/英語」とする誤認と、教員養成カリキュラムにおけるグローバル化の意味を積極的に検討してこなかった教員養成機関の主体性の欠如がある。

大学ではグローバル化指標として、外国人研究者と留学生数、国外研修参加者数、外国語能力試験の点数などが採用されている。こうした指標は、学生がグローバル能力を獲得する手段の多寡を示しはしても、グローバル能力の獲得を示さない。国外研修に参加しても、英語が堪能でも、グローバルな視野や態度を習得したとは必ずしも言えない。

教員養成機関のグローバル化は、量(件数・人数)ではなく、学びの質(教育活動が参加学生のグローバル視点獲得に有効か)で評価しなくてはならない。

また、教員養成機関の主体性とエビデンスに基づいた教育活動の構築・改善を追求する態度が求められる。国外研修参加者数などの、教師のグローバル能力の獲得を必ずしも保証しない指標を惰性的に使うのではなく、それぞれの教員養成機関が追求する「グローバル化」とその意味を定義し、具体化を図る主体性が極めて重要である。

特に、近年の研究はグローバル教育における学びの評価の可能性を明示している。各養成機関は、それぞれに展開するグローバル教育の有意性をデータで示す必要がある。

島根大学教育学部では、国際教育活動への参加学生の研修参加目的や、教育課題の捉え方、グローバル教育に必要な能力の認識等に関するデータを収集しており、この研究結果から得られる知見をプログラム改善に生かし、エビデンスに基づいた国際教育プログラムを実践する。

今後はさらに、組織のグローバル化を学生の学びで評価する態度を共有する教員養成機関と学校とが協働してデータを蓄積し、課題を多様な視野から検討することで、グローバル時代に必要な公教育の在り方を追求する教師と教師教育者のコミュニティー形成を目指したい。

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