(円卓)新指導要領におけるESDの位置付け

国立教育政策研究所教育課程調査官 濵野 清

昨年の幼・小・中学校に続き、今年は高等学校の学習指導要領の告示およびその解説の公表を受け、初等中等教育のこの先十年を見据えた「学びの地図」が示されることとなった。

そこでは「社会に開かれた教育課程」の重視を掲げ、いずれの学習指導要領上にも教科等の記載にせんだって新たに「前文」を記し、「持続可能な社会の創り手となること」の一節を盛り込むことで、改めて「持続可能な開発のための教育(ESD)」の重要性を示している。

振り返れば、今回の学習指導要領改訂に当たっては、中央教育審議会にその在り方の検討を求める大臣諮問において、すでにESDを「学ぶことと社会とのつながりをより意識した教育」として取り上げ、実社会や実生活の中で習得した基礎的な知識・技能を活用しながら、自ら課題を発見し、その解決に向けて主体的・協働的に探究し、学びの成果などを表現し、さらに実践に生かしていけるようにすることが重要であるとの視点を示していた。

それを踏まえれば、その後の中教審において「論点整理」「審議のまとめ」「答申」と議論が深まっていく過程で、ESDに関わる言及が増え、かつ具体化されることは当然の帰結である。新学習指導要領においては、先の前文に加え、総則、各教科等に「持続可能」というキーワードが随所に盛り込まれ、さらにその解説に「持続可能な社会の創り手」を育成する趣旨を加えて、記載が具体化されるに至った。

さて、持続可能な社会づくりに向けた「学びの地図」は示された。ただし、それを、授業を通して具体化する際、目標に至る道は決して一つではない。その「地図」を読み解きつつ、児童生徒、学校、地域の実態を踏まえて、それぞれ教育現場ならではのアプローチが期待されている。

ESDは、次世代の担い手に求められる行動変革を促すための教育であるが、そのような変革を促す授業には、授業をESDたらしめる構成要素として、課題を見いだすための視点や身に付けさせたい力などを明確にすることが不可欠となる。

教師としては、児童生徒にどのような視点で、どのような力を身に付けさせるべきかを常に自問し、各学校ならではのESDの推進を図りたい。

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