(円卓)管理職の見識と指導力に期待

「教育新聞」論説委員室顧問 佐野 金吾

12月初旬にユネスコスクール全国大会、ESD研究大会が横浜市立みなとみらい本町小学校で行われ、全国から800人以上の教員らが参加した。この大会では全国の小中高校から実践的研究事例を募り、優れた実践に対してESD大賞を授与している。受賞校の共通点をあげると、ESDの視点に基づいたカリキュラム・マネジメントが適切に行われていることである。

児童生徒や地域の実態を把握し、学校教育の目的や目標の実現に必要な教育内容をESDの視点に立って整理し、教科横断的に組み立て実施状況を評価する。その上で教育課程の実施に必要な人的・物的な体制を地域社会や行政機関の支援を得ながら実践している。

2018年度の義務教育学校諸学校における学校運営の大きな課題は新学習指導要領の移行措置への対応である。今次の学習指導要領の改訂において、各教科等の目標・内容は学校教育で育む資質・能力が三つの柱に沿って整理されている。それらをバランスよく育むためには学習過程の改善、つまり各教科等の授業の質的改善に向けて全教職員が「主体的・対話的で深い学び」に組織的に取り組むカリキュラム・マネジメントが必要である。

現状では知識・理解に重点をおいた教師主導型の授業が各学年、各教科担当者に任された形で行われている。「主体的・対話的で深い学び」に関する教職員の共通理解とともに単元構成や教材研究、評価、教科横断的な教育課程の在り方の工夫など学校としてのカリキュラム・マネジメントは機能していない。

新学習指導要領の趣旨の実現を目指した各教科等の目標・内容を全教職員が理解し、カリキュラム・マネジメントによる教育課程への組織的な取り組みが移行期間の最大の課題である。文科省の移行措置に関する告示や教委の通知を理解している教員がどれほどいるか心もとない状況であり、授業はいまも従前通りである。

背景には、部活動や保護者対応を含む日常の業務に追われ、授業を振り返ったり、教育界の動向について話し合ったり、深く考えたりするゆとりがないことがあげられる。新しい学校教育の在り方を求め、実践していくためには、それなりの環境条件の整備を必要とするが、学校管理職の見識と指導力によるところが大きい。

(元全日本中学校長会長)

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