(円卓)社会全体で子供を育むために

子どもの貧困対策センター「あすのば」代表理事 小河 光治

「たすけてと言いたいときもある」

「あすのば」の入学・新生活応援給付金を受け取った子供が、アンケート用紙に大きな字でこう書いた。

「貧困」とは、貧しさのみならず、多様な困りごとを抱えている状況である。だが、「助けて」と声を上げられない子供たちが少なくない。

給付金を受けた1500人の保護者と子供への調査で、厳しい生活の実態が明らかになった。年収300万円未満の世帯は86%に上り、半数の世帯で「貯金ゼロ」であった。高校1年生の3人に1人がアルバイトをし、その使途は「学校の費用」33%、「家庭の生活費」15%(複数回答)。7割の世帯で「塾や習い事を諦めた」と回答した。

「母子家庭で妹と弟がいるので、部活動を辞めざるを得ない状況になりました。母子家庭がこんなにつらくて苦しいことだと初めて気づきました。母は、毎日死ぬほど働いていて、母のありがたみがわかりました」

この高校1年生の叫びを放置してはならない。ひとり親世帯の半数以上が貧困状況にあり、OECD諸国で最悪レベルだ。

一方で、就業率は8割以上で、世界トップレベルである。ワーキングプアである実態が大きな課題だ。

今年1月、「子どもの貧困対策法」は、施行から丸5年を迎えた。超党派の国会議員で構成する「子どもの貧困対策推進議員連盟」は、今の通常国会でこの法律の改正案の提出を検討している。

それに向けた提言は①子供の貧困は、社会全体の課題であるという条文の追加②将来の貧困の連鎖の解消のみならず現状の貧困状況の改善③世帯全体への経済的支援などの対策推進④政府による子供の貧困に関する全国実態調査の実施とそれに基づく多面的な指標の設定⑤市町村での子どもの貧困対策計画の策定――などとなっている。

一方で、学校をプラットホームにした対策も重要で、先駆的な取り組みも進んでいる。多様な困難を抱える生徒の多い学校に、常勤・正規雇用のスクールソーシャルワーカーが配置されたことで、教職員、福祉部局、地域、NPOなどとの連携がより強化された。それまで教育現場で抱え込まざるを得なかった負担が軽減したという事例もある。

さらに社会全体で子供を育むことの推進が求められている。