(円卓)プログラミング教育の推進

茨城大学教育学部准教授 小林 祐紀

小学校新学習指導要領の全面実施まで残り1年ほどとなった。

話題の一つはプログラミング教育である。STEM教育やコンピューターサイエンスの流れを含みつつ、プログラミング的思考の育成などを目指すことが示された。情報活用能力が学習の基盤となる資質・能力と位置付けられ、その一部とされるプログラミング的思考を育成するための教科が新設されることはなかった。

予想通り、学校現場や教育委員会からは、戸惑いの声が多数聞こえる。順調に取り組みが進む自治体や学校はどれほどあるだろうか。何とかなるだろうという楽観的な意見があるとすれば、私はとうてい同意できない。一部の教員が実践するプログラミング教育ではなく、もれなく実践されるには何が必要だろうか。私は新しく始まるからこそ、教員がエンパワーメント(能力開花)されることが重要だと考えている。ヒト・モノ・コトの三つの視点から私見を述べてみたい。

ヒトについては、授業を支援してくれる人材である。ICT支援員はいうまでもなく、地域のボランティア、保護者、学生などの地域のリソースを探ってみてほしい。ある市では地域住民からボランティアを募っている。ある学校では近隣の工業高校の生徒の協力を仰いでいる。授業に直接参加するだけでなく、研修の場に来てもらうだけでも心強い。

モノについては、授業の実施を支える環境整備である。まだギリギリ間に合う。来年度の予算で最低限これだけは、というものをそろえてほしい。毎年発表される文科省の調査結果を見る限り、情報教育を支える環境には自治体間格差が存在している。

コトについては、今だからこそ、教員一人一人がプログラミングをぜひ体験してほしい。不安を解消する一番の方法は、それが何者かを知ることである。プログラミング教材を体験する研修、教員自身が学習者となって模擬授業を受ける研修など、さまざまな形が考えられる。

これらの実現を担うのは、現場の情報教育担当者よりもむしろ教育行政である。特に導入を決定した文科省には、情理を尽くした説明と円滑な実施を可能にする、ヒト・モノ・コトの推進を求めたい。

そして、教育施策の評価の着実な実施を強く望むと同時に、適否を判断した情報の公開をお願いしたい。