(円卓)教育の役割としてのESD

東京都多摩市立連光寺小学校長 棚橋 乾

新学習指導要領には総則の前に前文があり、「持続可能な社会の創り手」という表記が目を引きました。今、地球上では、環境問題だけでなく、国際紛争や難民問題、背景にある政治や経済の問題など、持続可能な社会づくりを妨げる多くの状況があります。

国連持続可能な開発目標SDGsは2030年を達成目標としていますが、遠い将来の話ではありません。そして、SDGs17のゴールを牽引(けんいん)する一つが、ゴール4のESDの実践にあるのは周知のことです。新しい教育の中にESDで示す環境・社会・経済・文化のバランスある学びを築くことは、SDGsを達成する教育の役割です。

新学習指導要領において、これからの時代に求められる資質・能力として示した「学びを人生や社会に生かそうとする、学びに向かう力・人間性」は、ESDそのものです。個人的には持続可能な社会づくりについて、もっと強く示してほしいと期待しましたが、10年後の次期学習指導要領では、持続可能性にさらに踏み込むことにならざるを得ないでしょう。

学校では、教育課程全体でESDを実践し、持続可能な社会への価値観と実践力の育成を図るホールスクール・アプローチの積み重ねが重要です。新学習指導要領が求める、学校が主体となって能力・態度を設定し育成することにつながります。

また、カリキュラム・マネジメントは、総合的な学習の時間を軸に、教科の学習内容や育成する資質・能力を連携させますが、ESDの学びが有機的につながり、学習活動が大変スムーズに、かつ充実します。

さらに、ESDカレンダーは、カリキュラム・マネジメントの活用事例で示される単元配列表のシンプル版といえます。ESDカレンダーを作成してきた学校にとって実に分かりやすい考え方でした。また一歩、学習指導要領とESDの距離が縮んだように感じたのは私だけではないと思います。それと共に02年に示されたESDの先見性を感じます。

ESDと新学習指導要領について環境省などで実践研修会を実施しています。参考になさってください。教育概念として明確な指導方法を示さないESDですが、学校現場での工夫は続きます。それが「持続可能な社会を創る」教育の役割です。