社会や暮らしを支える 金融経済を学ぼう、教えよう

【協賛企画】日本証券業協会
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ニュースを理解するためには

「ニュースを見ましょう」――。先生方は、児童生徒にこのように言ったことはないだろうか。新聞やテレビ、ネットなどのニュースには、われわれの社会や生活に関する必要で重要な情報が満載であり、世の中をよく知ることができる。

ただし、そこに出ている情報のほとんどは、何かしら経済や金融に関わっているものが多い。したがって、経済・金融に詳しくなれば、それらのニュースをより深く理解でき、社会や生活に関する内容をよく知ることができるだろう。暮らしを豊かにすることにもつながるかもしれない。

経済や金融の知識は不可欠

昨年、豊かな老後を送るための資金がいくら必要か、ということが話題になった。先生方の中には児童生徒から質問を受けた方もいるだろう。また、自身で実際に老後資金について考えた方もいるだろう。

「人生100年時代」といわれる中、老後の資金について考えた方も多いに違いない。このことは児童生徒にも関心が高く、教師としては子供たちに伝えていきたいと考えるのは当然だろう。

そのためにもこのような問題を考える上で経済や金融に関する知識は欠かせないことは確かであることが言える。

教師の仕事は忙しい

教師という仕事は日々忙しい。授業準備、生徒指導などに追われる毎日である。改めて経済や金融について学ぶのは難しいかもしれない。そこで、注目したいのが、外部の知見を活用する方法だ。新学習指導要領においては外部知見の活用がうたわれている。

幸いにも専門家が作成した、金融・経済を学ぶための副教材、指導資料などが多くあり、教員向けの研修も行われるなど、活用できる機会には恵まれている。経済に関心を寄せ知識を増やすのは、より良い人生を送るためにも必要だ。児童生徒たちへの指導を通じて自分自身が学ぶ機会があるのはある意味、教師の特権かもしれない。

そのような教師へのサポート活動をしている組織に日本証券業協会という非営利団体がある。同協会は金融商品取引法に規定されているわが国唯一の「認可金融商品取引業協会」で、中立・公正な立場から教育現場の支援にも取り組んでいる。その取り組みを軸に、同協会の金融・証券教育支援センターの金子敏之センター長と、日本公民教育学会会長であり、大学の教授や現場の教員が金融経済教育推進に関する検討を行っている「金融経済教育を推進する研究会」の委員などを務める東洋大学文学部教育学科の栗原久教授に話をうかがい、金融経済教育の学校現場への導入の在り方を2回にわたり考えていく。

金融経済を学ぶ必要性が増してきている

栗原教授は「2016年から選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられたことで、より金融、経済に関して学ぶことが求められてきた」と話す。

「高校3年生の段階で18歳になった時点から投票できるようになった。政治で1票を投じる。実はこれは金融、経済と縁のない話ではなく、政策に関わることの大半は経済に絡むこと。消費税を何パーセントにするかという問題も、正に経済の根幹に直結する重大政策の一つである。1票をどこに投じるかを考える上でも金融、経済を学ぶことは大変重要である」と指摘する。

「子供たちに金融、経済の知識は不可欠」と語る金子センター長

さらに、グローバル化や少子高齢化が急速に進む今の日本を取り巻く環境を考えると、「子供たちが社会に出て経済的に自立して生活していくためには、金融、経済の知識を身に付けておくことは必要不可欠」と金子センター長は話す。

「私たちの身の回りの社会と金融・経済は切り離せない。どんなに急速に環境が変化してさまざまな新しいサービスや物を提供する企業ができても、その企業の活動を支えるには資金が必要であり、そこは変わらない。次代を担う子供たちにはそのことを理解してほしいし、直接金融という手段で直接企業を支えたり社会問題を解決することが出来るかもしれない。主体的に社会に参画することの重要性を知ってほしい。まさにこのことが投資の意義である」と話す。

また、教師にとっても、一人の社会人として、老後のため、人生設計のため、さらには持続可能な社会のために、経済、特にお金の問題は避けては通れないものである。「先生方自身が日頃から金融、経済に関心を寄せてほしい」というのだ。

生活の中から「不思議さ」と「問い」を見つける

児童生徒に金融、経済に興味を持ってもらうにはどうしたらよいのだろうか。

「不思議だな」という問いを生かすことの重要性を強調する栗原教授

栗原教授は、「金融、経済の話題といっても特別なものではなく、実は私たちの身の回りで毎日起こっていること。日常のさまざまな出来事の中から、ついつい当たり前と思ってしまうことについて『なんでだろう』『なぜこうなっているのだろう』という疑問、問いを見いだすことができるか。それが一番のポイント」と話す。

「理科系の学びでは自然の中から『不思議さ』を発見するように、毎日生活する中で『不思議だな』と感じたことを問いとして提示し、その謎解きをしていくというように考えたらやりやすいのではないだろうか」

さらに、「本来、金融、経済の問題を理解できていないと、社会の本質は理解できないもの」「教師自らが、事象をとらえるだけでなくメカニズムを知ろうとする探究心を持つことが重要。問いに対して追究を重ねることで、新学習指導要領でも求められる『見方、考え方』 を働かせながら、理解が深まっていくはず」と強調する。

見方、考え方を働かせること

経済学の重要な原理の一つに「トレードオフ」がある。「あちらを立てれば、こちらが立たぬ」「両方実現することは不可能」という状況が「トレードオフ」だ。

金融商品で使われる「リスクとリターン」や社会問題を考える際の「自由と平等」も「トレードオフ」の代表例で、「治安の維持とプライバシーの保護」や「環境問題と経済発展」なども時として「トレードオフ」の関係となる。

「こう考えていくと、私たちの日常で起こっているさまざまな出来事、現象には、経済学の原理が働いていることがわかる。仮に経済用語である『トレードオフ』という言葉を明確に理解していなくても、『なぜだろう』という問いを掲げ、それを探究していくことで、『見方、考え方を働かせること』を学び、概念が理解できるようになる」と栗原教授は説明する。

発展性のある深く、面白い学びへ

栗原教授は、「金融、経済の授業で学んだことが、見方、考え方、概念の理解により、環境問題などの理解につながるなど、教科を超えた学びに発展していくと学びがさらに深まり面白くなる」という。

教師のための研修プログラムも充実している

例えば小学校の社会科では、5年で地理を習う。栗原教授は、「日本のどこで何が収穫できるかという産地の学習から、天候不順が続くとなぜ野菜の値段は上がるのかの需要と供給の関係の問いに発展させることができる。いかに追究しがいのある問いを提示できるかが一番のポイント」「子供たちが興味を持てるように、つかみの部分で『面白そう』と感じるストーリーがないといけない」とも指摘する。

このような授業のプロセスを教師自身で全て作り上げるのは容易ではないが、金融や経済については、専門家がさまざまな副教材を作り学校現場に無償で提供している。「これらの副教材は児童生徒が楽しく学べるように工夫されているため、活用することも効果的ではないか」と提案。「中には教科書のどこの単元をカバーしているのかを明示している副教材もある。導入の際には、教科の目指すべき本質にきちんと到達できるかのチェックを忘れてはいけない」と説明してくれた。

金融経済を楽しく学ぶサポート

金融、経済については、「教えづらい」「専門的知識が不足している」と考えている教員も多い中、日本証券業協会では、時間をかけず、児童生徒には楽しんで学んでもらえるように、主に中学校・高等学校の授業で使える副教材を無償で提供している。

副教材には、抽象的になりがちな「金融のしくみ」「株式会社制度」「起業」などをテーマに体験的に楽しく学べるものもあり、新学習指導要領で求められる「主体的・対話的で深い学び」が実践できている、との声も寄せられている。

その他にも、教師向けメールマガジンの配信や情報誌の提供のほか、教師向けの研修や外部講師の派遣などさまざまな支援活動を行っている。

次回は、学校現場における金融経済教育の実践について、日本証券業協会の用意しているサポートメニューの内容を通し、さらには実際に授業で取り入れている教師の生の声や児童生徒の様子なども踏まえて紹介する。


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