「未来の先生展2018」 強みとやる気を育てるポジティブ教育

先進国において「自尊感情教育」や「社会的・感情的学習(SEL)」の次の教育メソッドとして注目され、学校教育や子育てに生かされている「ポジティブ教育」。その中でも「強み」と「やる気」にフォーカスした「ポジティブ教育」の講座を、昭和女子大学総合教育センター専任講師の緩利誠氏が「未来の先生展2018」で行う。発表内容やメッセージを聞いた。


――ポジティブ教育とは。

心理学の新しい潮流として知られる「ポジティブ心理学」において実証されてきた知見を、教育分野に応用しようというのが「ポジティブ教育」だ。

学習のやる気や意義を高める「ウェルビーイング」、テストやスポーツで困難、失敗に直面してもあきらめずに立ち直る「レジリエンス」といった、心理的特性や能力を伸ばすことを中心としている。このウェルビーイングとレジリエンスの両方を育てていくことで、子供たちが幸せな人生を歩めるようにサポートしていく。

学校現場は、青少年の抑うつ、いじめ、学習意欲の低下など、多くの難しい問題に直面している。海外では、こうした問題の解決策として「ポジティブ教育」を導入しており、思春期に特有のネガティブ感情の低減や、友人関係の改善、学校満足度上昇などの効果が現れている。

国内でも「日本ポジティブ教育協会」が中心となり、日本の文化と子供の発達に合わせたプログラムで、学校、適応指導教室、引きこもり就労支援団体などでの実践や普及活動を行っている。

「強みに光を当てて育むことが幸せにつながる」と緩利氏
――ポジティブ教育に興味を持ったきっかけは。

就職活動の時期になると多くの学生が「自分の強みがわからない」「何をアピールしたらよいのか」と研究室を訪ねてくる。小学校から大学まで10年以上、教育を受けてきているのに、いざ社会に出るとなったときに自分の強みがわからないというのは、学校教育に問題があるのではないか。

「自分の強みは○○です」「社会に出たらこんな貢献ができます」「こんなふうに自分らしく生きていきたい」と胸を張って言える学生を育てるにはどうしたら良いのかを考えた時、たどり着いたのが「ポジティブ教育」だった。

――「未来の先生展2018」での発表テーマは。

今回はポジティブ教育の中でも「強み」と「やる気」にフォーカスした講座を行う。できていない課題や問題を浮き彫りにして、弱みを克服していくということが教育の基本スタンスになりがちだが、弱みばかりを見ていては、コンプレックスにつながりやすい。

そうではなく、その子の得意なことや、できていることに注目し、「強み」を生かして能力を伸ばしていくポジティブ教育について、皆さんと考えていきたい。

「強み」を使っているときは、なんらかの成果を残すことができ、かつエネルギーが湧いて「やる気」に満ちあふれてくるという特性がある。また、この「強み」は、逆境や困難に負けない力(レジリエンス)を育むために欠かすことのできない大切な要素の一つでもある。

こうした子供の強みを発見し活用する方法や、 子供のやる気を育てる指導法について紹介する予定だ。

また、「理念はわかるが、具体的にはどうすればよいのか?」という方も多いので、参加者同士で自分のエピソードを語り合い、お互いの「強み」を発見するミニ体験のようなことも考えている。

――読者へのメッセージを。

熱中する学びというのは、子供の成長や発達にとても大切だと心理学的に言われている。熱中する学びは、子供の「強み」を見つけることにもつながっていく。

これまで学校教育では、知識の習得に重きを置いてきた。しかし、それだけでは社会に出た際に、充実した人生やキャリアを送ることは難しいだろう。

学力が身についたかの基準だけでなく、子供が目を輝かせ、熱中する場面をどれだけ生み出せているか、子供の生活や学びを見直していくことが今後必要ではないか。

もっと学びたい、知りたいという「やる気」に満ちあふれる学びの場を作っていくことは、新しい「強み」を発見することにつながり、子供たちの可能性がさらに広がっていくはずだ。

「未来の先生展2018」では、ポジティブ教育を通じて学びの楽しさに気づくきっかけを、ぜひ提供したい。


【プログラム名】「子ども達の強みとやる気を育てるポジティブ教育  by 一般社団法人日本ポジティブ教育協会」(16日午後4時~5時)