「未来の先生展2018」 イエナプランを公立小学校で

オランダで広まり、日本でも注目を集めているイエナプラン教育は、一人一人を尊重しながら自律と共生を学ぶオープンモデルの教育。東京都大島町立つつじ小学校では、校内研究としてイエナプラン教育に2年間取り組んだ。その報告を「未来の先生展2018」で行う同校の細貝駿教諭に、発表内容やメッセージを聞いた。


――発表内容は。

日本で初めての事例となる「公立小学校へのイエナプランのワールドオリエンテーション導入」という、われわれが2016、17年度の2年間を通じて行ってきた、校内研究の内容と成果を発表する。

ワールドオリエンテーションとは、イエナプランの特徴的な手法の一つで、1~3年生を下学年、4~6年生を上学年という二つのグループに分けて、異学年のメンバーで進める対話中心の授業。校内研究テーマとしてワールドオリエンテーションに取り組んだ2年間は、週に一度、火曜日の5・6限目を使って、ワールドオリエンテーションの手法を用いた授業を行った。

異年齢のグループで行う対話は、通常の学級とは違った児童の自主性を引き出せる。2年間でいくつかのテーマを扱ったが、例えば「旅名人」という校外学習。校外遠足の行き先を決めるプロジェクトで、企画・プレゼン・投票・実施までを生徒が主体になり、対話を重ねながら進めた。プロジェクトを通じて、上級生は自然と下級生のサポート役を買って出るようになり、下級生も上級生に対して発言して行くような積極性が芽生えた。

未来の先生展では、2年間の取り組み内容を詳しくご紹介しながら、研究を通じて見つけた課題と成果などを発表する予定だ。

「イエナプランを通じて、対話の重要性を学んだ」と熱く語る細貝氏
――イエナプランから得た学びとは。

研究開始当初は、実はほとんどの教員は「イエナプランとは何?」という状態だったが、われわれの取り組みを知った日本イエナプラン教育協会理事の中川綾氏にサポートに来ていただけ、手探りの中なんとか校内研究を進めることができた。

一番大きな学びは、対話の重要性。ワールドオリエンテーションに参加する子供にとってだけでなく、同プログラムを検討する過程で、教員同士の対話もとても大切であると学んだ。

僕が勤務するつつじ小学校は、1学年1クラスで全校生徒は70人という規模。通常の授業であれば、ほかの教員と対話を必要とすることはない。しかし、今回の校内研究の取り組みによって、学年を超えた教員同士の対話が生まれる土壌ができた。研究対象のプログラムだけでなく、日々の学級運営でも教員同士が気軽に相談できるようになって、とても良かったと感じている。

――全国の教員へメッセージを。

「今までと違った新しい学び方」に興味のある人には、ぜひとも来ていただきたい。「大島の小さな小学校だからできたんだろう」ということにならないように、全国のどんな規模の小学校にも導入していける視点を意識して研究を行い、できるだけ汎用(はんよう)性の高いナレッジに仕上げている。

イエナプランのワールドオリエンテーションは、スモールステップで取り組めるので、例えば生活科の授業だけ、もしくは、学芸会や運動会の1種目だけを、ワールドオリエンテーションの手法で進めてみても良いと思う。

校長が変われば学校の方針は変わってしまうこともあるが、「対話の文化」は受け継がれて行く。どんな年次の教員にとっても有益な学びにつながると感じているので、ぜひ興味のある先生方には足を運んでいただきたい。


【プログラム名】「公立小学校におけるイエナプラン教育の実践の実際」(15日午後4時~午後5時、16日午後4時~午後5時)