「未来の先生展2018」 未来の学びを体験

松田孝 東京都小金井市立前原小学校長

「ICTやプログラミングは児童が自分を表現するためのもの。ダイナミックに自由に、とにかく楽しめればいい」――。東京都小金井市立前原小学校の松田孝校長は、そう話す。前原小といえば、公立ながらICTやプログラミングについて挑戦的な取り組みを続ける学校として名高い。例えば児童539人全員にPCを支給し、日々の授業や朝礼、家庭学習でも活用している。そんな先進的な活動の指揮を執るのが、松田校長だ。設備がままならない、プログラミングも未経験、手探りの状態から、児童たちの学びを180度変えた。松田校長に「未来の先生展2018」での発表内容などを聞いた。


――前原小の授業では、具体的にどのような授業をしているのか。

一言で言えば「ICTをど真ん中においた授業」。

例えば社会科では「グーグルアース」使って授業している。国土を学ぶとき地図帳や教科書の細かい文字を追うだけでは、リアリティーがない。そこで「グーグルアース」でその地域を表示しモニターに映して、児童に見せている。周辺の様子やいろんな角度から立体的に見えるので、児童たちはとても盛り上がる。

5年生で学ぶ「日本の国土」では、最北・最東・最西・最南位置を「グーグルアース」のフォルダツアー機能を使って紹介する。あらかじめピン止めしておくと自動で移動し、移動時間の間隔も細かく設定できる。私の語りに合わせたオリジナルツアーを作って使っている。併せて「日本の最南沖ノ鳥島、行ったことある?」と児童に尋ねながら、ユーチューブの動画を見せる。児童たちはもちろん行ったことはないから「こんなに小さいんだ」「おもしろい形だ」などと興味を示す。立体的かつ動く教材は児童たちも食い入って見るし、新鮮な情報を伝えることができる。

他にも全教科としての取り組みとして、「クロームキャスト」「アップルTV」をつないだモニターを使ったミラーリング。従来の授業は一方的に教師が話し、子供たちは耳だけで情報処理する形が多い。ミラーリングを用い、視覚からも連動した情報を示すことで、理解度がぐんと上がる。

教室では児童が大人になって生きる時代を2030年として、AIと共存したらどうなるのかと考えた。そこで「グーグルスピーカー」を1~6年の全ての教室にいれたり、シャープのコミュニケーションが取れるロボット「ロボホン」を高学年のクラスにおいたり、授業中も休み時間も自由に使えるようにしている。

「これまでの教育では獲られなかった新しい学び」と話す松田校長
――未来の先生展での発表テーマは。

前原小で行っている、こういったICTの取り組みを紹介する。今ちょうど内容をつめているところだが、披露したいコンテンツばかりで、選別するのに苦労している。「グーグルアース」のように無料で気軽に試せるものもある。ちょっと使ってみるだけで、子供たちの食いつきが違うので試してほしい。私は校長だが今も教壇に立ち、授業をすることが多い。それは児童たちがICTやプログラミングを通じて新しい体験をして、本当に楽しそうに学びを獲(え)ている姿を見るのが、なによりの喜びだから。それを一人でも多くの教員、特に若い教員に伝えたい。

――来場者へのメッセージは。

若い教員はやはりわれわれの年代に比べても、タブレットやデジタル機器の操作や機能にも明るく、使いこなしている。それなのにあまりICTやプログラミングを積極的に活用しないのがとても残念だ。今一度われわれ教員がどんな狙いを持って、ICTやプログラミング教育に取り組むのかを明確にしたい。

例えば前原小では、Googleスピーカーが教室にあるクラスでテスト中に「ねえ、Googleスピーカー、3+5は?」などと話しかける児童がいる。そのときに「カンニングだ」と叱りつけるのではなく、「こんな問題はAIが答えられるから、これから君たちはAIに答えられない、深い学びをしていかなければならないね」と諭す。そこまで教員が導いていかなくてはならない。

私も最初は見よう見まねで始めて、ICTやプログラミングがもたらす学びの意味まで考えられなかったが、取り組む中で一つひとつ気付いていった。学校とはそもそも子供たちが社会に出たとき生き抜ける資質・能力をつけるところ。ならば超情報化社会で生きていかなければならない、いまの子供たちにこういった学びを提供するのは、教師として当然の使命だろう。ICTやプログラミング教育には、これまでの教育では獲られなかった新しい学びが潜んでいる。


【プログラム名】「未来の学び 体験教室!」(15日午後0時30分~2時)