「未来の先生展2017」3つの教育大変革の動き 共に未来の学びの模索を

tf20170818_01中島ジャズピアニスト・数学者・STEAM教育者 中島さち子氏に聞く

――日ごろの活動について。

私は音楽・数学・教育という3つの顔があり、公演や研究の他、数学や音楽を通して、多様な教育・人材育成(講演、ワークショップ、執筆等)活動もしている。毎月の社会人向け『数学×〇〇講座』(紀尾井町東京ガーデンテラス)、『母娘で体験する数理ワークショップ』(東京大学駒場数理科棟)などでは、新しい学び開発も進めている。

私にとって、音楽・数学は本当に心ワクワクする創造の世界。そんな創造の世界は、人生の山道のように深く、険しいものだが、だからこそ21世紀を生きる私たちを支えてくれる重要なカギになると思っている。音楽家・数学者・教育者として、未来の教科書を開発したいと思っている。

――当日の発表内容は。

「数学と音楽は似ているの?」という問いに沿って、双方向型の問い掛けを交えながら、未来の教育プログラムや私の実践に基づく知見を紹介したい。

ワークショップは、とても楽しい未来の学び実践例。講演では演奏も披露する。数学×音楽の世界を楽しんでいただきたい。

少し深堀りすると、教育現場では今、3つの大変革が始まっている。

①科目を超えた学び:私の中では、音楽・数学は互いに刺激を与えている。21世紀は、科目や小・中・高・大、産官学、国境の垣根を超えたプロジェクト型総合学習が大切であり、STEAM(Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の融合がカギとなる。講演では、数学×デザイン、数学×音楽など、複数科目を掛け合わせたプログラム例や参加者の反応、企画時の苦労等を紹介しつつ、時代や今求められる力、総合学習の未来について考える。

②探究型学習:今はマニュアルがない状態で、道を切り開く探究力が求められている。探究型プログラム例や設計のコツ、注意点、参加者の探究例などをお伝えしたい。なお、私が中央審査委員を務める『算数・数学の自由研究』では、小1から高3まで、非常に優れた研究が全国から寄せられている。

③主人公は学び手(アクティブ・ラーニング):科学技術やICTの急激な発展の中、学び手が主人公という教育の本質が改めて問われ、教員にはファシリテーションスキルが求められている。当日はICT活用例を含め、どんな学習デザインや環境、声掛けの仕方が参加者のやる気にスイッチを入れるのかなど、私の体験や知見をお話ししたい。

――読者へメッセージを。

21世紀は、上記3つの教育大変革の動きが複雑に絡み合いながら、教育現場に大きな波を引き起こしている。デザイン思考や体験型学習など、学び方変革とともに、「未来の学びの中身」をどう設計し直すか――は、恐らく時間のかかる難題となる。

だからこそ、時には国境も超えて多様な分野のプロフェッショナルが集い、未来の教科書をどう描いていくか試行錯誤する場と、その成果を社会全体で共有する仕組みが今、必要と考える。

未来の先生展では、私自身のプログラム開発過程の苦労や成果物、参加者の反応等を具体的に紹介し共有することで、今後の授業設計に役立てていただければと思う。そして、一緒に、未来の学びを模索できれば幸いだ。

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【プログラム名】「数学と音楽は似ている!?~科目を超えた学びの可能性:STEAM~」(26日午後0時半~2時)、「STEAM Workshop ! 数学×デザイン・音楽~エッシャー・バッハに挑戦しよう!~」(26日午後4時~5時50分)


「未来の先生展2017」は、(一社)「Teacher’s Lab.」(宮田純也代表理事)が主体となって行う非営利イベント(文科省など後援、教育新聞社特別協力)。8月26、27の両日、東京都江東区の武蔵野大学有明キャンパスで開かれる。21世紀型授業、国際系教育、オルタナティブ教育、ICTなどに関する約150のプログラムが行われ、教育関係者や有識者ら約200人が登壇。詳しいタイムテーブルや入場チケット購入などは、「未来の先生展2017」のサイトへ。