「未来の先生展2017」2030年に求められる 教育の本質から考えたい

tf20170818_02石川香里ヌヴェール学院学院長/「21世紀型教育機構」理事 石川一郎氏に聞く

――ディスカッションのテーマは。

「2030年に求められる教育」だ。20世紀の教育は、子供に指示したことをやらせるのが命題だった。だがこれからは、自分が何者かを考える環境を用意することが教育には求められる。手法ばかり騒がれているが、実はゴールが大きく違う。ゴールは、自分がどうやったら世の中に貢献できるかというミッションを見つけることだ。これからの教員は、学びの場をプロデュースするのが役割となる。

だが、すでにそれを自覚していても、何をやればいいか分からない教員は多い。「世の中が変わっていく。AIの進化で仕事がなくなる」と不安をあおるのではなく、「AIが進化することは、一人一人の人間が、その人らしい生き方が問われる」と未来を肯定的に考えて、教育に求められる根源的なことを見つめ直せばよいと思う。正解はないが、視点はそこに持って欲しい。

そのためには、大学受験をゴールにするのではなく、未来の社会を想像し、必要とされる資質(コンピテンシー)は何かを教員も考えたらどうだろうか。教職以外の仕事をしていない教員は、大学受験を教育のゴールと考えがちで、社会が教育に求めていることは何かという命題に向き合う必要がある。

管理職も同じだ。戦前・戦後の教育が再生産されて、より密度が高くなっている現状を、根底からひっくり返さなければいけない。だが管理職や長くやってきた教員ほど、それは簡単ではない。

――具体的にどうすれば未来の視点を持てるか。

例えば「2020年の東京オリンピック後の日本社会の激変の中、社会は教育に何を求めるのか」「世界も激変する中でSDGsのグローバルゴールズはどのくらい達成されるのか」と考えてみるといい。長期的なスパンでの視野を持つことだ。

子供の自己肯定感が低いのは、未来が見えず、何のために学んでいるかが分からないからだ。自己実現や「人の役に立つ」ために学ぶという目的が生まれれば、自己肯定感も高くなる。自分のやりたいことを、グローバルゴールズを意識して考えるといいだろう。

何より、保護者が変わってきている。小学校受験をみていると、親は偏差値よりも、「子供の未来を考えて、必要な能力を身に付けられる学校を選ぶ」という、コンピテンシーベースになってきている。だから参加者には、「保護者が変わってきているのだから、自分たちも思いきって転換しなさい」と呼び掛けたい。

ゆとり教育など、いままで教育が簡単に変わらなかったのは、社会からの強い要請がなかったからだ。だが、いまは社会情勢の変化は明らかである。私が参加するのは、「未来の先生」に、これらを伝えたいからだ。若い先生にスルーパスを出したい。

――読者へメッセージを。

まず、管理職やベテランの世代へ。自分が引退した後も、「未来からの留学生である子供たちのために」という視点で教育改革を退職までのミッションにしたら、やりがいがあると思う。

40代は、中間管理職になる年代なので、どうすれば自分より下のゆとり世代の教員がやりやすい状況が作れるかを、共に生み出す、作り出すという感覚で積極的に考えて実行してほしい。

若手教員は、本質的に教育は何を求められるかを追求し、そこで自分は何ができるかを考えるといい。10年たてば学校の中核になるのだから、そういう意識を持つべきだ。3世代とも、そのヒントを、この「未来の先生展」で見つけてほしい。参加を迷っている方には、「恐れずに来て、一緒に考えましょう」と伝えたい。

私や登壇者だけが意見を言うのでなく、参加者全員で考える全体ディスカッションにしたい。いわば「正解のないシンポジウム」だ。未来の子供たちと関わりたいと考える「未来の先生」たちと、教育の手法でなく、今後の教育で求められることを本質から考えたいと、楽しみにしている。

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【プログラム名】パネルディスカッション「こたえのない時代を生きる教育といま求められる教員の資質・能力とは?」(26日午後4時~6時)


「未来の先生展2017」は、(一社)「Teacher’s Lab.」(宮田純也代表理事)が主体となって行う非営利イベント(文科省など後援、教育新聞社特別協力)。8月26、27の両日、東京都江東区の武蔵野大学有明キャンパスで開かれる。21世紀型授業、国際系教育、オルタナティブ教育、ICTなどに関する約150のプログラムが行われ、教育関係者や有識者ら約200人が登壇。詳しいタイムテーブルや入場チケット購入などは、「未来の先生展2017」のサイトへ。