油布佐和子早大教授に聞く「チーム学校」でより多忙化も

外部人材活用で校務増を危惧
情報の共有化や調整が複雑に

油布佐和子早大教授
油布佐和子早大教授

いじめや不登校対策でスクークルカウンセラー(SC)が学校にいるのは心強い。だが、現実には、むしろ教員の多忙化を加速させている側面がある。SCは多くの場合、非常勤なので、次に学校に来るまでの間の生徒の日常的な様子は、結局、教師が受け止めることになる。

ある現職教員は、SCが学校に来るまで、情報共有のために丁寧に子どもの状況を記録したが、このことで、逆に多忙さは増した。さらに、情報や指導法を共有するための会議や、その調整といった負担も増える。

これにスクールソーシャルワーカー(SSW)が加われば、1つの案件を複数の人が担当しなければならなくなり、事態はより複雑になる。

チーム学校は、いろいろな専門家の意見を聞くメリットがあるが、このように、調整のために多忙化を助長しかねない。実際に多様なスタッフを配置しているイギリスでは、その配置と雇用のために責任を負う校長の業務が著しく過密になっているという。雇用の形態も責任の所在も多様なスタッフの監督・管理、調整には、いったい誰が責任をもつことになるのだろうか。

またこれに財政事情が加われば、さらに問題は大きくなる。

現在、SCなどの配置は事業費で推進されている。そのため、都道府県ごとに働き方は多様だ。週に2、3回巡回する地域があれば、月に1回のところもある。

答申では、SCやSSWの給与を国庫負担金の対象とすることを検討すると述べられている。一見すれば、「政府が保証する」ように聞こえる。

しかし、平成17年の義務教育費国庫負担の改正では、総額裁量制が取り入れられたことにより、標準法に定められた教員の人数分の予算内であれば、非常勤で教職員を雇用してもかまわないことになった。外部人材の雇用が、正規教員の採用枠をいっそう削ることになれば、本末転倒である。チーム学校は、その響きから反論があまりないが、考えるべき点は多い。

そもそも日本の教員には、労働者意識が薄く、過労死やサービス残業がおかしいという感覚がない。

ヨーロッパ諸国では、ワークライフバランスの意識が高い。ドイツでは、労働時間貯蓄制度がある。残業代を払えば、長時間労働を強いてもかまわないということになりかねない。そうではなくて、ワークライフバランスの観点から、法定勤務時間を超えた分については、残業代を支払うのではなく、代わりに、該当時間分を有給休暇として取得させるのである。

政府は、教職調整額の廃止も含めた見直しに入っている。長時間の残業をしても、残業代としては反映しないのを考えると、労働時間貯蓄制度のような別の方法を導入することも考えていいのではないか。

関連記事