段階的に電子黒板を整備【千葉県船橋市総合教育センター】

既存の黒板前面に設置した電子黒板を授業内容に応じて活用
既存の黒板前面に設置した電子黒板を授業内容に応じて活用

ICT効果検証踏まえ適切な学びを

千葉県船橋市総合教育センターは、分かりやすく深まる授業の実現と子どもたちの情報活用能力育成を目標に、市内の全市立小・中学校に電子黒板とデジタル教科書などを段階的に整備する。今年度は、全市立中学校2年生の普通教室に電子黒板を配備。既存の黒板前面に設置した電子黒板を、授業内容に応じてレールで移動させて活用する。デジタルコンテンツ配信サービス「EduMall」を使い、教科に応じてデジタル教科書を効率的に配信し、利用する学びも進めている。

同センターでは、社会の中で協調し自立できる子どもを育成するため、主体的に学び、自ら表現する力の育成を掲げる。そのため、プレゼンテーション、コミュニケーション、表現の力を伸長し磨く道具として、電子黒板とデジタル教科書を全市立小・中学校、特別支援学校に、段階的に整備する計画を昨年度から進めている。

昨年度は、先行研究として市立坪井小学校の全教室に70インチ電子黒板とタブレット端末80台を整備。市立古和釜中学校の全教室には77インチ電子黒板とタブレット端末80台を設置した。学びの効果検証を進めながら、ICT活用が効果的な場面と学習方法、既存の学びの意義などを明らかにした。

小学校では、デジタル教科書の動画や音声解説によって、学習内容の実感的理解と定着が深まったと評価。算数の図形学習「三角形の定義」では、子どもたちのタブレット端末に扇形など、さまざまな図形を映し出しながら、三角形の分類を考えさせた。中学校では、デジタル教科書を使った数学の一次関数の授業を実施。授業後は検証として、デジタル教科書を使ったクラスと使わないクラスで、テストの正答率や定着率を比較する調査も行った。

同センターの秋元大輔所長は、「デジタル教科書で、グラフの関係をより分かりやすく表示して説明する授業を行った。その結果、デジタル教科書使用クラスが正答率と1カ月後の定着率で大幅な優位性を得たのを確認した」と振り返る。

一方で、漢字の書き取りなど、基礎基本の学習は従来通り、鉛筆で何度も書く練習が効果的だとし、学習の目的や場面に応じて、ICTと既存の学びを織り交ぜる必要性を強調。

そのため、ICT環境整備では、既存の黒板前面に電子黒板を配置する仕組みを構築。(株)内田洋行のシステム提案で、学習状況に応じて、レールで電子黒板を自由に移動できる作りとした。実物投影機をセットで使用する仕組みも工夫し、子どもたちを席に座らせたまま、教員が必要な学習題材をすぐに拡大投影して分かりやすい説明に生かす。教員にこれまでの授業の延長で進めるICT活用の学びを経験してもらい、ICT利用の精神的ハードルを下げてもらえればと述べる。

また同メーカーの「EduMall」を使い、デジタル教科書を校内で自由に配信できようにしている。地域イントラと各学校の校内LAN環境を生かせるために、ICTを普段の授業で簡単に、当たり前に使うのに役立つと話す。

今年度からは、21世紀型学力の育成と新たな大学入試への対応を視野に、全市立中学校2年生の普通教室に電子黒板とデジタル教科書を整備する。これまでの先行研究成果を踏まえ、今夏には、古和釜中学校の教員に講師となってもらい、市立中学校の2年生を担当する5教科の全教員を対象にした教科別ICT研修会も行う。同時に、ICTを使った授業を考案、実践してもらいながら活用事例集をまとめていく。全中学校のICT機器入れ替えに合わせて、先行研究を踏まえたタブレット端末導入も図りたいと考えている。

同所長は、同市のタブレット端末活用について、「導入初期段階では、協同的な学びを進める際に、グループでの使用を視野に使っていく」と説明。80台の端末を10台ずつ8クラスで生かす。80台あれば、授業内容によって1クラスで40台使えて、子ども1人1台の利用環境も実現すると述べる。

小学校生活科「春を見つけにいこう」などのフィールドワークでは、子どもたちがグループ探索で発見、調査した対象を同端末のカメラで撮影し、発表する学習に生かしているとする。同端末で撮った画像をまとめの文章や飾りなどを加えて、一括で編集し、集約できるのがとてもよいと強調。まとめの試行錯誤を踏まえた思考の変遷も記録でき、発表資料の作成とプレゼンテーションへの流れも効率的に進められると意義を示す。

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