指導と評価の一体化を実現 校務支援システム活用【相模原市】

全面運用に向けて、これまで70回程度の研修を実施
全面運用に向けて、これまで70回程度の研修を実施

誤記入防止と労力軽減で観点別評価

相模原市は昨年、全市立中学校で、成績処理や出欠席情報管理などを統一的に行えるようにするための校務支援システムを導入。今年の新学期から運用をスタートさせた。特に成績処理は、これまで学校ごとに書式や運用が異なり、転記やチェックの繰り返しなどの課題があった。同システムの活用によってこれらの問題点の解消を図る。生徒の学びを丁寧に見取り、単元ごとの観点別評価で確かな指導と評価の一体化を目指す。

今春、同システムの運用を開始したのは、全市立37中学校。システム導入以前は、エクセルなどで学校ごとに校務処理を進めていた。そのため、日々の成績処理から通知票や調査書作成に至る流れの中で、成績データの転記作業が必要となるために誤記入が生じやすかった。これを防ぐために、複数教員による二重三重のチェック作業をせざるを得ない状況にあり、多くの手間と時間が割かれていた。

現在は、市内の全中学校教員が、共通の成績処理ソフトを個々のPCで使用し、生徒の日々の学習状況を記録。新たな操作や作業に苦労しながらも、それぞれのデータが通知票や調査書にも連動して記されるので、誤記入の防止や確認作業の軽減につながっている。

これまでの課題などを踏まえ、取り組みを担ってきた同市立総合学習センターの篠原真担当課長は、システム運用で実現したい視点として、「確かな学習評価に基づいた指導と評価の一体化」「教師が子どもとしっかり向き合い質の高い授業実践を行うための時間確保」を挙げる。

さらに、「中学校では高校入試を踏まえ、誤りがない成績処理の必要性がより高まる。その中で教員は、作業への精神的ストレスをより強く感じている」と強調。「労力の負荷だけではない多忙と不安『感』の軽減を実現するためにも、無駄な作業を省き、正確な処理を可能とするICTの有効活用ができれば」と思いを語る。

導入経過としては、「学校の情報化推進計画(平成26~28年)」の施策に基づき、平成26年に市内中学校の教員と行政職員で構成する「中学校校務の情報化推進検討会」を立ち上げ、システムに必要な機能や研修を含んだ導入スケジュールの検討を行った。その際、当たり前に無理なく使用できる仕組みと機器を選定していくために、同検討会には「ICTが不得意な教員」をメンバーに多く含むようにした。実際に使ってもらいながら検討していったのが、導入を判断するのに大いに役立った。

入札では、総合評価方式を採用し、価格点よりも提案書とプレゼンテーションによる技術点を重視した。その結果、目標にする「確かな学習評価」と「指導と評価の一体化」の実現を見据え、文科省が掲げる単元ごとの観点別評価に対応した成績処理機能を備えた「校務支援システム~スズキ校務シリーズ」(スズキ教育ソフト(株))が採用された。検討会が望んでいた単元毎観点別評価に最も近い機能を有しており、学校現場で必要な視点や思いを強くくみ取ろうとしてくれる熱意が高評価につながったと考えられる。

同シリーズは、▽中学校成績処理~家康NET▽通知表作成▽指導要録作成――というソフトがラインアップされている。「家康NET」は、さまざまな教科の試験結果を、「話す聞く」「知識、理解、技能」などの観点ごとに入力が可能。提出物や活動評価なども記録できる。学習状況の分析機能や複数の試験結果、評定データを集約し、面談で使う資料を簡単に作成する機能も設けている。

昨年9月から試行を開始し、今年4月に全面運用を開始。これまで70回程度の研修を実施。運用が始まったので研修は終わりではなく、通知票作成、調査書作成などに合わせて再度研修を実施し、学校への訪問も積極的に行い、誤記入の防止に取り組んでいく。

今後は、小学校の検討会を立ち上げ、導入検討を開始する。またタブレット端末など学校のICT環境整備や活用も並行して進める中で、平成29~31年度に「学校の情報化推進計画」を策定し、教室からの学習記録や成績処理ができるシステムやテレワークの可能性についても探っていく。

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