教師と児童の双方向で学習意欲につなげる デジタル教材の活用で 茨城県結城市立江川南小学校

【協賛企画】
東京書籍株式会社
教育新聞ブランドスタジオ
吉村俊一教務主任/本人画像提供

 1人1台端末が活用段階となった今、「個別最適化」「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、学習の習熟度に対応しつつ授業を進めていくには、コンテンツの果たす役割がより高まっている。そのような中、2024年4月からデジタル教材の「タブドリLive!」(東京書籍(株))を効果的に活用し、児童の学習意欲を維持しながら、日々きめ細やかな学習指導を実践している茨城県結城市立江川南小学校(海老根健治校長、児童数62人)の吉村俊一教務主任に話を聞いた。 

「ノルマ的感覚」からの脱却を目指す

 「基礎学力定着のための教材活用において、『ノルマ的感覚』で児童を支援する傾向になってはいないだろうか。児童の学習意欲を維持し、今まで活用していた教材の良い点も生かしつつ、学習に取り組むための新たな方法を教師全員で模索していた」と吉村教務主任は、課題に直面していた当時を振り返る。

 GIGAスクール構想の進展により1人1台端末が整備され、デジタル教材の活用が検討され始めた中、結城市教育委員会で「タブドリLive!」を小中学校で導入することになり2024年4月から活用することになった。

 吉村教務主任は「『タブドリLive!』の活用に関しては、使いやすさと機能が『学習意欲を維持し課題に取り組む』という狙いに適合していたこと、また、活用が絶対というスタンスではなく、活用する教材ツールの一つとして位置付けられていたことが、若手教師からベテラン教師に至るまで受け入れられ、スムーズな導入につながった」と導入直後のことを語った。

学習意欲の維持と習熟度に合わせた学習を展開

 「タブドリLive!」は国語、社会、算数・数学、理科、英語の5教科を扱い、小学校は1年から6年まで(社会、理科、英語は3年から6年まで)、中学校は1年から3年までのドリル問題提示が可能で、義務教育課程の各学年のドリル問題に取り組めるのが特徴だ。

 同校では全学年全教科で活用し、主に朝学習、授業中の練習問題、夏休みや冬休みの課題などにおいて活用している。吉村教務主任は活用のメリットと効果に関して、以下のように指摘する。

(1)児童は自分のペースでドリルに取り組める

 「先へ進みたい、新しいことに挑戦したい児童は先の単元の問題に取り組む。苦手分野を克服したい、よく理解したい児童は前の単元、学年に戻って問題に取り組み、学び直しができる。『先に進みたい、うまく理解できないのでもう一度学び直したい』といったことは、友だちの前では言い出しづらい。児童は自分のペースで主体的に学習に取り組むようになった。また、大量の問題をいきなり目にすることなく、個々の学習履歴に応じて最適な問題が出題されるので学習意欲の維持につながっている。先の単元の問題に取り組んだり、前の単元、学年に戻って問題に取り組んだりすることで、『これができると、これができるようになるんだ』と児童自ら課題を解決する探究的な学びにつながり、児童が自然と学習の系統性を理解するようになった。系統立った学習にはとても適している。さらに、学習の結果や成果・進捗に応じてメダル、称号、トロフィーを集めることができる機能があり、ドリルの学習成果、結果を視覚化・見える化することができる。モチベーションを保ち、楽しく学習するようになった」

朝のドリルで理科の復習に取り組む(6年生)/同校吉村教務主任画像提供
朝のドリルで理科の復習に取り組む(6年生)/同校吉村教務主任画像提供

(2)教師は適確な実態把握と授業改善ができる

 「どこでつまずいているのか、どの分野が得意・不得意なのかなど、ドリル学習のデータがタイムリーに表示されるので、具体的な目標提示がしやすく、状況に応じたドリル問題や課題を設定し児童に配信できる。そのため、児童の学習状況の分析や実態把握、プリント作成にかかる時間とコストが削減でき、業務の効率化、働き方改革につながっている。捻出した時間は、児童と向き合う時間に充てることができ、理解に困っている児童にきめ細やかに対応できるようになった。さらに、アナログ教材とデジタル教材のそれぞれのメリットを生かした『タブドリLive!』の活用について、教師間で各単元や教科において効果的に活用するタイミング(授業中どのタイミングで活用するのがよいか)など、成功事例を情報共有し、互いに切磋琢磨している」

算数の授業で友だちと一緒に練習問題で「タブドリLive!」に取り組む(1年生)/同校吉村教務主任画像提供
算数の授業で友だちと一緒に練習問題で「タブドリLive!」に取り組む(1年生)/同校吉村教務主任画像提供

学級経営にも活用を広げていきたい

 「今後はアナログとデジタルコンテンツのベストミックスに関する事例や情報を集約し、教師間で共有していきたい。その中でも『タブドリLive!』に関しては、クラスの目標を設定してクラス全員で学習に向かうような活用をしていきたい。得意分野に強い子が、苦手分野を抱えている子に教えてあげる契機にする、など個々にがんばりつつも、全員が協働的に関わっていくような学習の進め方に挑戦したい。宿題・課題というスタンスではなくイベント的に見せるやり方もありかもしれない。『今日は算数でこんなイベントがあるから、全員でがんばろう』といったように学級経営に関わるような活用の仕方を模索してみたい」と吉村教務主任は、先を見据え思いを語った。