ニュース NEWS

東京都目黒区で5歳の女児が虐待死した事件を受け、政府は7月20日、関係閣僚会議を開き、2022年度までに児童福祉司を2000人増員することを盛り込んだ緊急対策を決定した。国・自治体・関係機関の連携を強化し、子供への虐待防止に向けて児童相談所の権限を強化する。9月末までに乳幼児健診を受けてなかったり、幼稚園や学校に通っていなかったりする子供の状況を把握するよう、全国の市町村に要請した。  安倍晋三首相は関係閣僚会議で「子供の命を守るため、あらゆる手段を尽くし、やれることはすべてやるという決意で取り組むように」と述べ、厚労省など関係省庁に対し緊急対策を直ちに実行するよう指示した。……

愛知県豊田市の公立小学校で1年生の男児が熱射病で死亡した事故を受け、県教委は7月19日、校長らに対し熱中症事故の防止に万全の対策を取るよう通知した。県内の公立学校1329校で20日執り行われた終業式は、式の最中の水分補給や体操服の参列が認められ、クーラーのある教室に分かれて校長のあいさつを全員がテレビで見守るケースもあった。 男児が死亡した小学校は2学期制のため、終業式はなかった。……

今年3月にスポーツ庁が公表した運動部活動のガイドラインに基づき、すでに19の都府県で部活動ガイドラインを策定していることが7月20日、日本部活動学会(会長・長沼豊学習院大学教授)の調査で分かった。14県で国のガイドラインと同じ休養日や練習時間を設定し、3つの県では朝練を禁止していた。高校でガイドラインより休養日を少なく、活動時間を長く設定している県があった。  同学会は今年6月、47都道府県教委に対して調査用紙を送付し、39都道府県から回答を得た。……

君が代斉唱時に起立しなかったことを理由に退職後の再雇用を拒否されたのは不当として、東京都立高校の元教諭22人が都に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は7月19日、都に賠償を命じた一、二審判決を破棄し、元教諭の請求を棄却する判決を言い渡した。都教委の逆転勝訴が確定する。 判決によると、元教諭らは卒業式で起立斉唱を命じた職務命令に違反したとして、戒告や減給の懲戒処分を受け、2006~08年度の再雇用選考で不合格になったり、合格が取り消しになったりした。……

科学技術振興機構(JST)が主催する日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)に参加した中国、シンガポール、ブルネイの高校生6人が7月19日、林芳正文科相を表敬訪問し、日本の高校生との交流や大学の研究体験について意見交換した。  事業はアジア地域の優秀な学生らを10日間~3週間、日本に招き、人材や研究の交流につなげるのが目的。今年で5年目となる。……

ルーマニアで開催された第59回国際数学オリンピックで参加者全員がメダルを獲得した日本代表の高校生6人が7月20日、文科省を訪問し、戸谷一夫事務次官から表彰状を授与された。  金メダルに輝いた灘高校(兵庫県)3年生の黒田直樹さんは戸谷事務次官に「(前回大会に続き)2回目の挑戦で世界6位という、いい成績を取れた。……

ニュース解説 COMMENTARY

eye-catch_1024-768_chichibu国立教育政策研究所研究企画開発部総括研究官 千々布敏弥

アンディ・ハーグリーブスの名を知らない教育学研究者はいないだろう。国内では、邦訳が1冊刊行されているのみなので、学校関係者では知らない人がいるかもしれない。  ハーグリーブスが注目されているのは、人的資本(ヒューマンキャピタル)、社会的資本(ソーシャルキャピタル)という、近年注目されつつある資本(キャピタル)概念に加え、意思決定資本(ディシジョナルキャピタル)の意義を提起していることによる。  ヒューマンキャピタルとソーシャルキャピタルの関係は広く知られているだろう。……

妹尾写真教育新聞特任解説委員 妹尾昌俊(教育研究家、中教審委員)

 ■夏休みは何のため?
 もうすぐ夏休み。うちは中学生と小学生の子供がいて、この時期はいつもワクワク、ソワソワしている。いまの子供たちは毎日6時間前後も授業を受けていることを考えると、久しぶりにハードな日々から解放される――という感じだろう。  教職員にとってはどうだろうか。研修や会議、じっくり教材研修、部活動指導などをする予定もあろうが、やはりいつもよりはよほど〝ゆとり〟があるにちがいない。ランチタイムも同僚らと外食する人もいるだろう。日頃、給食指導や提出物のチェックを片付けるため、5分やそこらで給食を終えているのとは大きな違いだ――という人もいると思う。  実は、夏休みの目的や意義については、今ひとつはっきりしない。……

6月18日に発生した大阪府北部地震で、高槻市立寿永小学校のプール脇ブロック塀が倒壊し、小4女児が死亡したことを受けて文部科学省は学校のブロック塀の安全点検の実施を全国の教育委員会などに要請した(本紙1面既報)。同じ悲劇を繰り返さないために何が必要なのだろうか。
■「違法状態」のままが多数見つかる
今回の事件の大きなポイントは二つある。一つ目は、ブロック塀という全国の学校や通学路の至るところにある設備が倒壊したこと。 二つ目は、倒壊したブロック塀が建築基準法の基準に合致しない「違法状態」にあったことだ。 2011年の東日本大震災を契機に文科省は、学校施設の耐震化を進めてきた。……

社説 OPINION

学び続ける教員をいかに育てるか――。現在、教育界が抱えている大きな課題の一つである。 その特集号がベネッセ教育総合研究所発行の冊子『VIEW21教育委員会版』に掲載されている。 その内容構成は、玉川大学学長で、中教審委員を務めた経験のある小原芳明氏、東京都八王子市教育委員会委員の大橋明氏による対談と、これに関連する三つの事例紹介からなる。……

 世界保健機構(WHO)は6月18日、スマートフォンなどでのゲームにのめりこみ日常生活に支障をきたしたり自身の健康を損なったりする、いわゆる「ゲーム依存症」を「ゲーム障害」としてIDC(国際疾病分類)の最終案に明記した。「ゲーム障害」とは、「ゲームをしたい欲求を抑えられない」「ゲームをすることを他の日常生活の活動よりも優先してしまう」「家族関係、仕事、学習などに重大な問題が生じてもゲームをやめられない」といった症状が12カ月以上続く状態を指す。  わが国でもこの問題は以前から指摘されていた。この分野の研究に詳しい独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長の樋口進氏によれば、ゲーム依存症と診断された人間の大部分がインターネットゲームをきっかけとしており、2012年の厚生労働省の調査では「インターネット依存」の中高生は約51万8千人(全体の約8%)と報告。「ゲーム障害」の危険性がある中高生の数は、スマートフォンの普及を考慮するとさらに増えているものと推測される。  樋口氏はさらに、ゲーム依存の人間とギャンブル依存やアルコール依存の人間の症状および脳内の反応パターン・経過が酷似していると指摘。……

 10年に一度の教育課程改訂期、学校は二重の教育活動が求められる。  一つは現教育課程の実施であり、着実かつ円滑に進めなくてはならない。  もう一つは移行措置に取り組みながら行う新教育課程の編成である。……

学校経営 MANAGEMENT

上越教育大学教職大学院教授 西川純

追い詰められる教師たち
追い詰められているのは子供ばかりではありません。教師もです。 学校の教師教育の低下です。十数年前から、少子化対策として急激に採用を減らしました。ところが最近になって、少人数対策と大量退職に対応するため急激に採用を増やしています。結果として、教職員の年齢分布は、フタコブラクダのような分布になっています。 さらに、交通の便利な学校の場合は異動したがらず、結果としてベテランが多い学校になります。……

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

新教育課程の実施に向けて小学校が最も課題としているのは英語教育の導入であろう。移行期2年間は15時間程度を総合的学習から拝借して実施ということであるが、すでに今年度から完全実施と同様週35時間実施する学校がかなり増加しているという。 小学校の英語教育については主に学級担任が行うことになるが、①専門的な教育を受けていない②英語指導の経験がない③授業のやり方がわからない④発音に自信がない⑤評価の仕方がわからない――などの困難さを抱えて、プレッシャーを感じる教員は多い。 ただ、ある調査では「早く慣れ親しんだ方がよい」として英語教科化に6割以上が賛成しているという。……

元東京都立西高等学校長 石井杉生

マネジメントサイクルのPlan(計画)段階における課題は、さらにいくつかある。その一つが、学校経営計画を読んでも、そこに掲げられた項目が目指すべき「目的・目標」なのか、目的を達成するための「手段」なのかが分からないという点である。 具体的に説明すると、例えば「土曜授業の実施」を学校経営計画に掲げている学校があったとする。この「土曜授業の実施」は、果たして目的なのか、手段なのかということである。 学校が目指す教育理念や育てようとする児童生徒像を実現するために、学校週5日制の中では難しいと判断し、土曜日の授業を実施しようとすれば、土曜授業の実施は、当然「目的」を達成するための「手段」であると思う。……

教育実践 PRACTICE

元東京都日野市立小学校長 京極澄子

「指導の工夫」により、授業への参加意欲や理解が進むという結果が得られました。しかし、指導の工夫だけでは、「分かった」「できた」に到達できない子もいます。 そこで、授業内で行う「個への配慮」や授業外での「困難さに特化した指導」が必要になります。いずれも、個の困難さを的確に把握し、必要な配慮や支援を検討・実施し、それが有効だったか評価することが大切です。 「個への配慮」は、丁寧に子供を見取る、本人の自尊心を傷付けないよう目立たなく支援する、学びの過程で褒める、がポイントです。……

立命館大学教授 湯浅俊彦

芝浦工業大附属中高校は2017年4月、東京都江東区豊洲の新校舎設立に伴い、タブレット型PC「S-tab」を生徒、教職員全員が持っています。このデバイスを活用して電子図書館サービス「LibrariE」も導入することになりました。 筆者は、18年7月に同校を訪問し、大坪隆明校長、佐藤真也事務長、図書館を受託運営する紀伊國屋書店の担当者から詳しく話を聞くことができました。 同中高校は、18年4月1日時点で中学校13クラス509人、高校18クラス618人。(うち女子生徒は中高合わせて35人)という、理工系進学を目指す学校です。明るく開放感のある図書館には5万冊の蔵書があります。……

武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部・上松恵理子准教授

 スウェーデンは、選挙のマニフェストのトップに教育を掲げると当選するほど、教育熱心な国だ。選挙期間には、小学生が各政党のテントを回り、政党ごとの主張をまとめるような授業があり驚いた。  学校では、子供の人権を最重要視している。小学校1年生から全員に電子メールアカウントが与えられていることも「基本的人権であり、当然のこと」と教師たちは言う。ある小学校では、トイレの前で「トランスジェンダーなど、性の多様性を考慮し男女別にしない」と説明を受けたこともあった。  ストックホルムのオールシタ小学校には、これまで3回訪問調査した。……

企画特集 SPONSORED

わが国は四方を海に囲まれ、海から多くの恩恵を受けている“海洋国家”と言える。毎年、「海の日」に合わせて、教育新聞では海洋教育の特集を組んでいる。今回も、海洋教育に関する識者の対談、自治体による海洋教育の実践、関連団体の取り組みなどに焦点を当て、学校現場に、その重要性を提示した。なお、「海の日」は1876年、明治天皇が東北地方巡幸の際、それまでの軍艦ではなく灯台巡視の汽船「明治丸」によって航海をし、7月20日に横浜港に帰着したことにちなんで制定された。現在は法改正により「7月の第3月曜」になっているが、歴史的経緯などにより、元の日程に戻し定着させることが海洋関係者から強く求められている。

学校給食、食育に関する最新情報を集約!!「おいしい給食」実現のための方策 について各分野の方との座談会。学校給食施設の取り組み事例。 文部科学省の 「社会的課題に対応するための学校給食活用事業」「スーパー食育スクール事業指定校の実践」 などチェックしておくべき情報が満載です。

未成年者飲酒防止のための指導事例を、全国の学校から募集する「2018年度未成年者飲酒防止教育“学校コンクール”」の応募受付が始まった。主催は「STOP! 未成年者飲酒プロジェクト」を推進するビール酒造組合。同コンクールの目的は、学校・地域が一丸となって未成年者の飲酒防止問題に向き合い、考える意識を高めること、そして未成年者飲酒が及ぼす健康への影響などの理解を促進させることにある。コンクール事務局は応募校への支援として、「飲酒状態体験ゴーグル」「アルコールパッチテスト」「ビールすごろく」などの体験用ツールを無料で貸出・提供する。昨年度のコンクールでは、優れた取り組みが多数寄せられた中、最優秀賞を小学校部門は埼玉県川口市立差間小学校が、中学校部門は広島県安芸高田市立高宮中学校が受賞した。未成年者飲酒防止教育を通じて、自己肯定感の向上や判断力の育成を図った2校の実践内容、成果などを取材した。

教員採用試験  EXAMS

ここ数年、教職志望者の減少が指摘されている。いわゆるブラック部活動など教師の仕事の大変さばかりがクローズアップされたり、加えて民間企業の採用が好調であったりすることがその要因であろうか。いうまでもなく、教師はやりがいと魅力のある職業である。ここでは、元全日本中学校会長で「教育新聞」論説委員室顧問である佐野金吾氏に、教職志望者に向け、改めて教師という仕事の素晴らしさをつづってもらった。面接では、教職への熱意を語ることが必要とされている。ぜひ参考にもしてもらいたい。

生徒とともに成長を続ける 熱意を傾けられる仕事として

生徒の成長に感動する
教師は、生徒の心と体の成長に大きく関わっている職業です。特に中学生は子供から大人へと心身共に急激に成長していきますので、教師はその姿を身近に感じ、見守り、支援に深く関わることになります。 中学校生活を通して最も感動的な場面は卒業式でしょう。特に、初めての学級担任として生徒と共に過ごした3年間、そして教職生活最初の卒業生を送り出す卒業式、立派に成長した姿に接したときの感動は、生涯忘れることはできないでしょう。 この感動こそが教師としての原動力です。……

eye-catch_1024-768_kenmochi帝京科学大学教育人間科学部教授 釼持 勉

  この時期、教員採用選考の1次試験を終えて、2次に向けての取り組みを始めた受験者が多いと思う。その際、個人面接、集団討論、実技などを優先し、模擬授業にウエートをおいた取り組みはどうしても滞る傾向がある。  では、模擬授業に臨むに当たって、何をどう整理していけばよいか。 (1)板書力を確かめる……

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テーマ
教師になって壁にぶつかり、どうしようもなくなってしまったとき、どのように対処しますか。
○回答
◯ 一人で抱え込んで悩んでいても解決しそうにない問題は、仲間や上司に相談します。現状を自分なりに整理して、初任者指導担当や学年主任の先生に相談し、指導を受けて対処します。 また、日頃から指導法や教材のアイデアを聞いたり話したりできるようにして、相談できる友達や先輩との関係を大事にするように努めます。私は教育実習で、先生方は自分から聞いたり質問したりすると、親身になって教えてくださることを経験しました。 この経験から、一人で抱え込んで悩まず、経験豊かな先生方の助言を受けて、対処の仕方を決めていこうと考えています。……

教育ICT EDUCATION ICT

立命館大学教授 湯浅俊彦

芝浦工業大附属中高校は2017年4月、東京都江東区豊洲の新校舎設立に伴い、タブレット型PC「S-tab」を生徒、教職員全員が持っています。このデバイスを活用して電子図書館サービス「LibrariE」も導入することになりました。 筆者は、18年7月に同校を訪問し、大坪隆明校長、佐藤真也事務長、図書館を受託運営する紀伊國屋書店の担当者から詳しく話を聞くことができました。 同中高校は、18年4月1日時点で中学校13クラス509人、高校18クラス618人。(うち女子生徒は中高合わせて35人)という、理工系進学を目指す学校です。明るく開放感のある図書館には5万冊の蔵書があります。……

林芳正文科相は7月17日、日本マイクロソフトやヤフーなどIT関連の業界団体ウィンドウズデジタルライフスタイルコンソーシアム(WDLC)の表敬訪問を受け、実際の小・中学校で使われているWDLC提供の教材を使って、プログラミングを体験した。林文科相は「日本の学校から、将来のビル・ゲイツを輩出したい」と期待を込めた。 使用した教材は、パソコン上の専用ページで指令が書かれたブロックを組み合わせ、加速度や温度を関知するセンサーを内蔵する板状のデバイス「micro:bit(マイクロビット)」を光らせるのが特徴。……

立命館大学教授 湯浅俊彦

学校図書館が電子書籍の電子資料をあえて利用しないということは、デジタル・ネットワーク社会の今日、極めて重要な情報源を最初から無視することになります。例えば、近年、文学作品の電子化が進んでいますが、作家の個人全集は紙媒体で刊行することがコスト的に困難になっており、電子版しかないという事態が進展しています。  2010年6月に電子書籍として刊行が始まった「小田実全集」(小学館)は、2014年5月に4年の歳月をかけて完結しました。収録作品の半数以上が絶版だったため、作家の集大成が電子書籍でよみがえったといえるでしょう。  「小田実全集」の場合は、電子書籍版とオンデマンド版で同時出版する日本の出版業界では初めての試みでした。……

総合 GENERAL

日本ユネスコ国内委が12団体採択
日本ユネスコ国内委員会(会長・安西祐一郎独立行政法人日本学術振興会顧問)このほど、2018年度の「グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業」の対象となるコンソーシアムを決定した。多様なステークホルダーの参画によるESDコンソーシアムの構築と、「ESDの深化」を図る高度な実践を通じて、持続可能な社会づくりの担い手を育成し、地域のSDGs達成の推進に寄与することが目的。今年度は大学、教委、自治体、公益法人など12団体となっている。 この事業は、2014年度からの継続事業である「ESDコンソーシアム事業」と、18年度から新規にスタートした「ESDの深化による地域のSDGs推進事業」から成る。 コンソーシアム事業は、教委や大学が中心となり、ESDの推進拠点であるユネスコスクールとともにコンソーシアムを形成し、地域におけるESDの実践・普及や、国内外におけるユネスコスクール間の交流などを促進する。……

中学校賞 さいたま市立大宮八幡中学校
[caption id="attachment_78114" align="alignright" width="300"] 「世界一大きな授業」を全校で実施[/caption]
(1)研究のねらい
本校は、人口約120万人を超える政令指定都市にある全校325人の小規模校で、学校教育目標は、「心豊かで たくましい 広い世界に生きる人間の育成~好奇心こそすべての始まり」。JRC加盟校として長い歴史があり、人権教育の推進にも力を注いでいる。環境教育の視点で学校ファームの活動に、また、国際理解・多文化共生の視点で学校外の講師を招聘(しょうへい)するなどの活動も取り入れている。 これらの活動をESD(持続可能な開発のための教育)の観点からまとめ、地域との絆を一層深めるとともに、地球規模の課題を認識し、中学生として今何をしなければならないのかを知り、考え、行動することのできる生徒の育成を目指している。具体的には、「人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと」「他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、『関わり』や『つながり』を尊重できる個人を育むこと」を狙いとしている。 それにより、(1)持続可能な社会(未来)の担い手としての意識を高めることができる(2)自分が世界とつながっていることを実感し、自己肯定感や有用感を育むことができる(3)地球規模で考え、身近な所に目を向ける態度(Think Globally Act locally)を身につけることができる(4)広い視野で物事を考え、思いやりの心や協調性が育まれる――の力が育つと考えている。

児童生徒に貴重な「自然体験」の機会を与える学校林。小・中・高校で保有している学校は現在2492校で、直近の5年間では185校の減少、30年前と比較するとほぼ半数に減少していることが、公益社団法人国土緑化推進機構の調査で分かった。最も多く利用されているのは、「総合的な学習の時間」においてであった。

コラム COLUMN

英国の女性教師が、PISAで高得点をあげているフィンランド、日本、シンガポール、中国(上海)、カナダに滞在して各国を分析した本が注目されている。『日本の15歳はなぜ学力が高いのか? 5つの教育大国に学ぶ成功の秘密』(ルーシー・クレハン著、原題『賢い国:世界の教育力、成功の秘訣』、早川書房刊)だ。 この本を推奨する日本の教育学者は、「(著者は)日本の学校に関しては、中学の理不尽な規制=我慢の重視や、学校が勉強だけでなく人格形成の場となっていることを注視している」「班・学級など集団の責任が重く、個人指導もグループ内に多くが委ねられ、それが独創性を損ねている」などと日本の教育現場に厳しい見方を示す。 その半面、「先生方が授業を視察・共有する、能力評価ではない研修・改良法としての『授業研究』に着目している」「日本の先生方は米英に比べ時間にゆとりがあり、それは学級人数が『多い』からできる」などとし、これらが日本の教育手法の特徴だと分析する。……

上智大学准教授 丸山 英樹

外国人が東京の地下鉄に乗ると、老若男女問わず多くの者が小さな画面に向かっている様子に驚くことがあるという。車内では、ツイッターの方が最新情報を得られるという広告が垂れ下がり、「今の若い人は新聞を読まないし、テレビも見ない」というニュースがモニターに流れる。 なるほど、世界トップクラスの通信速度と安定性に支えられたインターネットを介したリアルタイム情報の方が、手元のスマホで無料入手できるし、便利である。 ただし、「タダほど怖いものは無い」面もある。……

 今、教育界の一部で、「非認知能力」の育成に関心が集まっている。この能力は、「人間として生きていく力」を指しており、具体的には目標に向かって頑張る力、他の人とうまく関わる力、感情をコントロールする力などである。数が分かる、字が書けるなど、IQで測れる力を「認知能力」と呼ぶ一方で、それだけで測れない内面の力を「非認知能力」とも呼んでいる。 また、「非認知能力」の高い人は、最初は知識不足だったり経験不足だったりしても、周囲の意見を取り入れて学ぶ意欲を持ち続け、次第にできなかったこともできるようになり、伸び幅が大きいという。近年、「非認知能力」は、将来の所得やキャリアにも影響すると、多くの研究で指摘されている。 この「非認知能力」を高める教育は、今や世界の幼児教育のトレンドになっていると言われている。……

書評 BOOK REVIEW

[caption id="attachment_82510" align="alignright" width="300"] 金子奨・高井良健一・木村優 編
大月書店
2000円+税[/caption]生徒も教員も学び合う学校の姿とは、どのようなものか。 生徒の学びを保障したいという願いが10年かけて実を結ぶまでを、14人の教員が詳細に記し、「協働の学び」の根源的な価値を伝える。 舞台は埼玉県立新座高校。……

[caption id="attachment_82501" align="alignright" width="300"] 前田勝洋 著
黎明書房
2000円+税[/caption]多くの小・中学校を行脚し、授業づくりや学級づくりを助言してきた元校長が、自分自身の実践や優れた教員の取り組みの中から見いだした授業の「知恵とワザ」のエッセンスが詰まっている。 その中には三色のチョークによる板書の色分けなど、今日の学校現場では基本とも言える決まり事も含まれているが、ある意味でそういった基礎こそが授業の根幹であり、授業がうまくいかないときこそ、その基礎基本に立ち返る必要があるということなのだろう。 著者は授業づくりにおいて学習規律を何よりも重視している。……

[caption id="attachment_82471" align="alignright" width="300"]
河村茂雄 著
図書文化社
1800円+税[/caption]変化の激しい知識基盤社会で、学校教育には「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育」と「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められている。いずれも今日的な重要課題として大学や研究機関などで研究が進められているが、教室では一緒に展開するにもかかわらず、別個に語られることが多い。 「インクルーシブ教育」の実現と「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた教育実践を、一体的に推進する仕組みづくりを提案。「学級集団づくりのあり方」と「子供に対する指導のあり方」について、著者が聞き取りや観察調査を行った教員たちの取り組みを基に、望ましいモデルを示す。 2部構成で、前半ではこれからの学級経営における課題を指摘。……