教師が「教えない人」になれる時間-15分間の「朝鑑賞」が子どもの自己肯定感を育む-

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東洋館出版社
教育新聞ブランドスタジオ
青木善治 作 2090円

 美術作品に対する自分の見方や感じ方、考え方を他者と交流しながら楽しむ対話型鑑賞法「朝鑑賞」を通して、「主体的・対話的で深い学び」を子どもに定着させる方法論を示す解説書。

 全4章から構成。第1章は、現在求められている学びに触れ、その上で芸術に触れる必要性を説く。第2章は、朝鑑賞での教師の立ち回り方を紹介。子どもたちのディスカッションを活発にする言葉選びや、その言葉を発するタイミングを説明する。最もページ数を割いている第3章では、朝鑑賞の実例を用いながら具体的に述べていく。教師と子どものやりとりが細かくまとめられた議事録を掲載。事例は学年ごとに記されており、朝鑑賞を実践した際につまずきそうな部分は丁寧にフォローされている。

 そして、朝鑑賞を実践した小学校の校長からの感想が載っている第4章も面白い。朝鑑賞導入による手応えが生き生きと述べられており、いかに子どもの成長にプラスに作用しているのかが伝わってくる。朝鑑賞という学び方の可能性を感じざるを得ない。

 朝鑑賞は決して美術の知識をもとに作品と向き合う取り組みではない。教師は子どもに何かを教えるのではなく、より良い学びを促すファシリテーターとしての役割が求められる。朝鑑賞をきっかけに、子どもの「主体的・対話的で深い学び」を養うだけでなく、教師としての心構えをアップデートすることも期待できそうだ。