子どものやる気に火をつける「見つけ学習」の考え方・進め方

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黎明書房
教育新聞ブランドスタジオ
前田勝洋 編著 2200円

 教師として38年、退職して以降も20年以上教育現場に携わってきた編著者が考案・推進してきた「見つけ学習」の考え方や進め方を記した実践書。「見つけ学習」とは、子どもに「心に残ったこと」「すごいと思ったこと」などを3つ見つけるよう指示するところから始まる。見つけたことについて思ったことを書いたり、子ども同士で意見交換したりなどを促し、考えや理解を深めていくというもの。

 前半は「見つけ学習」の概要から、教科ごとの「見つけ学習」の導入方法が載っている。また、各学年に応じた授業中の振る舞いも紹介。編著者をはじめとした複数の教師たちが実際に教壇に立った時の様子が細かく描写されており、有効なフレーズや声掛けのタイミングを知ることができる。「見つけ学習」を実践しやすくするための工夫が随所でされていることはありがたい。

 後半は教師による「見つけ学習」の実践を通して得られた手応えが語られていく。指導に自信が持てない教科の苦手意識を克服した体験談などが寄せられ、子どもだけではなく教師の成長にも大きく寄与することが分かる。指導に悩んでいる教師にとって「見つけ学習」は何かしらのヒントを与えてくれるかもしれない。

 学習指導要領の総則で提唱されている「主体的・対話的で深い学び」を実現するための道のりは険しい。ただ、「見つけ学習」の実践が子どもの学ぶ姿勢を前のめりにしてくれそうだ。