不登校の状態にある小中学生が昨年度34万人を超え、11年連続で増加、過去最多になったと報じられた。その理由として、「学校生活に対してやる気が出ない」(32.2%)、「不安・抑うつ」(23.1%)、「生活リズムの不調」(23.0%)などが挙げられているが、子どもたちの心の声がここから見えてきそうには思えない。少なくとも不登校の理由は、無気力や不安、不調という子ども自身の問題だけでないことは明らかだ。
本書では、不登校という状態は「子どもたちが学校に下した評価」だとし、「いつの間にか学校が息苦しいところになっていませんか」と警鐘を鳴らす。子どもの気持ちを大切に、「子どもが主語の学校」を目指して取り組みを続けてきた元中学校校長の言葉である。
どのような子どもも、学校に心理的にも物理的にも居場所があり、理解者がいて安全安心で自由な空間があれば、学校に足が向くようになる。学校が息苦しい場となっているから学校に行けない、行かないのであって、不登校問題を根本的に解決するには学校そのものが変わらないといけない。そして、その変わり方はいたってシンプルで、安心安全な場をつくるために「教育」を主語にした「こうあるべき」という鎧(よろい)を脱ぐこと。「子どものために」と思い込んで長年やり続けていること、ルールを手放してみることだと伝える。子どもが主語の学校とはどういう学校を意味するのか。多くの教師に読んでみてもらいたい。