子どもたちを取り巻く社会、環境の急速な変化を受け、学校教育における改善、改革提案が繰り返される中、長年かけて築かれてきたルールや制度、枠組み自体を見直し、大胆な教育変革を促す動きも強まりつつある。
学校現場では、子ども主語、主体的・対話的で深い学び、自律的な学び、ICT活用、個別最適な学びといったキーワードに沿った授業の改善、改革が日々進められている。
一方で、次々と押し寄せる改革の波に対して、現場の教員がそれを受け止め、理解するための材料や時間的余裕がない現状もある。
そのような背景を受けて登場したのが、本書である。自明視されがちな改革のキーワードをあえて議論の余地のあるものとして設定、現場で奮闘する教員自身が立ち止まって考え議論することを促し、教育変革の現状について見通しを持ってもらうことを狙っている。
初めに、「未来の教室」「令和の日本型学校教育」「政策パッケージ」といった教育変革政策の展開を概観しながら、その基本的な枠組みとそれを巡る論点を整理する。タイトルに「光と影」とあるように、変革によるポジティブな側面だけでなく懸念される負の側面や課題なども取り上げ、その克服のために何が必要かも提示する。
その上で、日本型学校教育の強みと弱みを明確にし、学校や教師の仕事のコアを確認しながら、教育改革を真に子どもたちの学びと成長へとつなぐ指針や展望を示す。