大統領が叫び、戦争の幕が上がる。戦地に赴くのは「ぼく」ではなくロボット。テレビではロボットの行進やロボットが倒した敵の「数」が映し出される。
「ぼく」たちは内心、ロボットが躊躇(ちゅうちょ)なく〝していること〟を知っているが、仲間外れになりたくないため、何も知らないふりをしてテレビで知らされる数字に熱狂した。
大統領が自国の勝利がすぐそこにあることを叫んだ瞬間、突然テレビに本当の戦場の様子が映る――。
ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ地区攻撃など、今、血を流している人々は世界中にいる。近未来の「ぼく」の視点でストーリーは進行するが、内容は今の自分に無関係ではない。戦争を自分事として考えるきっかけになる。