精神疾患を理由に休職する教師が右肩上がりを続けているが、その背景にはモンスターペアレントの存在は小さくない。理不尽なクレームに精神をすり減らし、適切な対応策を見つけられずに苦慮している教師が多い現在、現役小学校教師の著者が保護者からのクレームに対する話術を提案する。
序盤は保護者からのクレームを細分化し、画一的に捉えないことの必要性を説く。クレーム内容をいくつかのパターンに分類することにより、クレームへの適切な向き合い方をひもといていく。中盤以降は特に対処に困る要求を繰り返す、被害者意識が強いシゾイド型と攻撃的な態度を見せるナルシスティック型のクレーマーと接する際の話術をそれぞれ紹介する。
シゾイド型では「先生の声が大きいのでうちの子が怖がっている」、ナルシスティック型では「子どもが寝坊したとき車で送れるように駐車場を確保しろ」といった、一度は言われたことのあるケースが複数並ぶ。各ケースには意識するべきポイントが箇条書きでまとめられ、保護者と教師の対応例も載っている。すぐにでも現場で使用できる実践的な内容だ。
また、現役教師が手掛けてるだけあり、「我々教員は、もうこれ以上できないところまで耳を傾けるようにしています」など、教師の気持ちを代弁する熱のこもった言葉も散見される。保護者との接し方を学べることに限らず、クレームによってすり減った心をケアしてくれるだろう。