学校は誰のもの? ~子ども主役の学校へ、いま名古屋から~

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東洋館出版社
教育新聞ブランドスタジオ
名古屋市教育委員会 著、中谷素之・松山清美 編著 2310円

 名古屋市教育委員会が市全体で強力に推し進める公教育のチャレンジ、「学びの構造転換」。本書はその全体像を示す一冊である。

 名古屋市では2020年度からナゴヤ・スクール・イノベーション事業(NSI事業)と銘打ち、企業、NPO法人など民間事業者と協働した授業改善を推進している。幼稚園から高校まで全ての市立学校の教育段階において、個々の興味・関心や能力・進度に応じた「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を目指している。注目すべきは、民間事業者と手を組み、その技術、ノウハウを生かしながら実践研究に取り組むことで、特別な学校やモデル校だけでなく市内全校がそれぞれ「学びの構造転換」に着手し始めている点である。

 中でも注目を集めているのが、イエナプラン教育を活用して授業改善を進める同市立山吹小学校の取り組みだ。子どもたち自身が自らの時間割を計画し、進める進度も自分で設定する「山吹セレクトタイム」、異年齢で学ぶ「ふれあい学習」、遊びから学ぶ「山吹アドベンチャープログラム」などを紹介する。いずれもイエナプランの良い点を取り入れながら日本の教育システムにフィットさせた、独自のスタイルだ。

 そのほか、NSIモデル実践第1号の同市立矢田小学校が取り入れたプロジェクト型学習や、全市立中学校にスクールカウンセラーを常勤させ子どもたちを支える取り組みなども紹介されている。