「日本の学校教育は遅れている」という言葉は頻繁に耳にするが、実際はどうなのか。本書は日本、ブラジル、スウェーデン、イギリス、ドイツ、フランスの学校教育や教育制度について紹介する。
全6章から構成されており、合計158に及ぶ問いに回答していく形で、章ごとに各国の現状が語られていく。第1章では日本がピックアップされ、「給食は何のためにあるの?」「PTA制度はどんな機能を果たしているの?」など、教育に関する幅広い問いが並ぶ。基本的にいずれの問いは1ページ以内に回答が載っており、効率的に日本の教育制度を確認できるのはありがたい。第2章以降は海外の教育事情をまとめる。日本の状況と比較しながら読めるため、頭に入ってきやすい。そのおかげで、スウェーデンでは鉛筆やノートが無料で配布されていたり、ドイツでは障害のある子どもだけではなくギフテッドの子どももケアしたインクルーシブ教育が推進されていたりなど、日本の遅れにより強く危機感を覚えざるを得なくなる。
最後に載っている著者たちの座談会も読み応え十分。部活動や宿題といったテーマを設け、日本ならではの特徴を明確化していく。そして、導入すべき海外の仕組みが論じられ、日本の学校教育に今何が求められるのかが分かる。当然日本の優れた面も見えてくるが、課題も多い現状が把握でき、日本の学校教育の現在地を理解するのに最適な一冊と言える。