Society5.0が未来社会モデルとして打ち出されて以降、文部科学省だけでなく経産省や内閣府などが登場し、公教育の在り方を根本から転換するような教育改革プランを提起している。
今、公教育は揺らいでいるが、そもそも経産省や内閣府が公教育を外側から揺るがすことができたのはなぜなのか。どのような政策的経緯とアクター、構造によって形づくられ、背景にはどんな政治・経済・社会状況が存在したのか。それらを明らかにするのが本書である。
日本教育政策学会が2020年7月から3年かけて取り組んできた課題研究テーマ「With/Afterコロナ時代の教育と教育政策/統治」の成果をまとめたもので、政策立案の当事者である官僚やその経過を取材した記者らも招き、多様な視点から論じている。
第Ⅰ部「公教育の現在と未来」では、コロナを機に急速に広がったICT教育とSociety5.0以降の公教育改革構想の全体像を考察し、第Ⅱ部「公教育改革をめぐる政策展開」で、現在に至る教育改革がいかなる経緯で生まれ、どんな特性や問題点があるのかを明らかにする。
第Ⅲ部「公教育への民間教育産業の参入」では、EdTech企業や民間企業の公教育への参入について、第Ⅳ部「個別最適な学びとEdTech」では、教育のデジタル化と個別最適な学びの推進について焦点を当て、その政策的経緯や問題性を分析する。