子どもの主体性を伸ばすことが求められ、叱らない子育ても重要視されるようになった現代の保育現場。ただ、子どもの主体性を尊重し過ぎるあまり、注意すべきラインが分からず、頭を抱えている保育者は多い。子どもを見守るべきか、注意をするべきか、その「線引き」をこれまで保育士のキャリアアップ研修を100回以上実施してきた筆者が解説する。
全4章で構成されており、第1章では主体性を尊重することの意味を深掘り。子どもの言うことを全て受け入れるのでもなく、放任するのでもないことに改めて気付かされる。メインとも言える第2章では、3つの線引きの基準を提示。その上で、公園で「まだ帰りたくない」と言い張る、友達が遊んでいるおもちゃを取るなど、保育現場でよく見られる18の場面を取り上げ、各場面での適切な対応を述べていく。その対応を講じるべき理由も記述されているため、保護者に説明を求められた際にも自信を持って回答できる。第3章では、言動の裏側に隠れている子どもの考えや心情が具体的に記されており、子どもとの接し方をアップデートすることが可能。第4章では、各保育者の線引きにずれを生じさせないための園内研修のやり方が示されており、園長の立場にも配慮している。
本書を通して子どもの主体性を尊重する保育を身に付けられれば、今まで以上に子どもの成長を実感でき、よりやりがいを持てるようになりそうだ。