近年、頻繁に耳にするようになった生成AI「ChatGPT」を、学習に応用するための方法をまとめた参考書。「ChatGPT」に精通した特別講師が、2人の中学生に指導していく中で、「ChatGPT」の全体像や活用方法を解説していく。漫画のように登場人物たちの会話形式で展開されており、気軽に読み進められる構成だ。
大きく「基本編」と「実践編」に分かれている。基本編では、従来のAIと生成AIの違いや、個人情報の流出リスクについて示す。ただ絶賛するのではなく、「ChatGPT」が抱える課題に触れながら、それをどう生かすかを丁寧に論じている点はありがたい。実践編では、まずテスト対策として、数学の問題を「ChatGPT」に作成してもらう方法を紹介。さらに、音声機能を活用したシャドーイング、読書感想文の添削指導など、さまざまな教科での実践例が登場する。いずれも使い方が詳しく記されており、試してみたくなるようなものばかりだ。
ただ、「ChatGPT」の有用性が語られる一方で、巻末には「どんなにAIが発達しようとも、結局それを扱うのは人間である」という言葉が載っており、深く心に残る。IT化がどれだけ進んでも、むしろ進んでいる今だからこそ、教育という営みの重要性を再認識させられた。中学生向けではあるが、子どもたちに堂々と「ChatGPT」について教えられるよう、教師にもぜひ手に取ってほしい。