「『生きる』教育」で変わる未来 学校を子どもたちの「心の安全基地」に

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大久保真紀、西岡加名恵、今垣清彦、木村幹彦 編著 2200円

 「『生きる』教育」とは、大阪市立生野南小学校(現・田島南小中一貫校)で生まれた、小中学校9年間の教育プログラムだ。

 かつて、貧困、格差、虐待などの連鎖から社会経済的に困難な環境にある子どもたちや、アタッチメント(愛情)の形成不全といった発達課題を抱えている子どもたちによる暴言・暴力が多発する、「荒れ」た学校だったという。その背後にあった子どもたちのトラウマや厳しい環境から目を背けず、子どもたちのために公教育で何ができるかを考え作られたのが「『生きる』教育」である。

 「『生きる』教育」の始まりは、1年生でプライベートゾーンについて学び、「見ない」「見せない」「触らない」「触らせない」という約束を教えることから始まる。その後も性教育、虐待予防、キャリア教育の観点から9年間を見通したカリキュラムが設定され、自分の心と体を大切にしつつ、互いをエンパワメントする力、レジリエンス、ダイバーシティを尊重する力などを身に付ける。

 また、困ったときにはSOSを出していいのだということを一貫して伝え、「受援力」を育むことにも重きを置く。

 「目の前の子どもを何とかしたい」という教員の熱意と深い愛情に感動するとともに、子どもたちの抱える困難の根底部分に学校がここまで踏み込み、真に「心の安全基地」になれるのかと驚く。公教育における「『生きる』教育」の可能性を知ってほしい。