人間関係のストレスから退職して祖母の花屋を手伝うようになった朝子が、5人の小中学生たちとの交流を通して、お互いに少し前向きになっていく姿を描いた短編集。
「わたし」はしっくりこないために自分のことを「みちる」と呼ぶ、みちる。親の再婚や友達に彼氏ができたことで孤独感を募らせる、ふみかなど、異なる悩みを持つ5人が登場。
各エピソードは小中学生視点で進行していく。悩みの内容が十人十色で、なおかつ各登場人物の心の機微が丁寧に描写されており、読んでいるとふいに共感してしまう瞬間がある。
モノローグとエピソードは朝子視点で、小中学生がメインのエピソードでは朝子はあくまで登場人物の1人としてしか描かれていない点も面白い。ユニークな構成となっており、読書の楽しさにも触れられそうだ。