学級経営をガラリと変える 超実践的 心理的安全性アプローチ

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学事出版
教育新聞ブランドスタジオ
田中翔一郎 著 2420円

 みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化「心理的安全性」。近年、ビジネスシーンで注目されている心理的安全性を、教室内でも高める方法論をまとめた参考書。

 序盤では、小学校教員である筆者が、より良い学級をつくるためにこれまで実践してきたものの効果がなかった取り組みについて述べている。「年度の初めに立てる学級目標」や「丹精込めた学級通信」など、多くの教師が行っているであろう施策の利点を挙げつつも、期待している効果が得られなかった原因を冷静に分析。現役教師だからこその説得力ある指摘が続き、それらの取り組みに注力するよりも、心理的安全性を高めることが有用であるかを論じる。

 中盤からは、心理的安全性を高めるための実践策を紹介。頻繁にクラス替えをしたり、発表の際に挙手制にこだわり過ぎなかったりといった、すぐにでも導入できるアイデアが並ぶ。また、山形の小学校で実際に行われている、子どもだけで学習を進める授業「自学・自習」も取り上げ、事例も交えながら多角的にまとめている。

 終盤では、職員室での心理的安全性の高め方を示す。子どもだけでなく教師も学校を好きな場所として捉えられるようにするための工夫が述べられている。従来の学級運営に関する参考書にはなかった切り口となっており、本書を通して心理的安全性という視点を取り入れることで学習意欲をガラリと変えられるかもしれない。