ピアフィードバックのゼロ段階 人間関係が支える「メタ認知、自己評価、批判的思考」

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図書文化社
教育新聞ブランドスタジオ
河村茂雄 著 2200円

 「自ら学ぶ力」を有する「自立した学習者」の育成を目指した授業改善が進み、課題解決型学習やグループ学習、グループディスカッションなどを積極的に取り入れた授業が広がっている。そして、このようなアクティブラーニング型の授業では、振り返り活動として子ども同士で行うピアフィードバック(相互評価)を取り入れることが多い。

 ピアフィードバックを通じて仲間同士がお互いの意見や考え方、改善点や評価を話し合うことで、自己理解を深め行動改善につなげることができる。しかし実際には、関係のないおしゃべりが続く、ただの褒め合いに終始してしまう、逆に揚げ足取りに陥るなど、教師が期待したほど盛り上がらないことも少なくない。

 「自立した学習者」の育成に向けてピアフィードバックが効果を上げるには、前提としてチームのメンバーが自分の発言を拒絶したり罰したりしないと確信できる学級状態が確立している必要がある。

 そこで本書では、カウンセリング心理学の知見から、学級の心理的安全性をどう高めていけばよいかを解説し、ピアフィードバックを効果的に取り入れるためのポイントを伝授する。

 最終章では、学校現場で見られる代表的な学級集団として「同一化的傾向」「形骸化した傾向」「空洞化した傾向」「無気力化した傾向」「防衛的風土」の5つのタイプを示し、タイプごとに工夫するための指針を示す。